奇跡
先日から、
安城市の農家の方々を取材しています。
愛知県豊田市にある明治用水取水施設で発生した
大規模な漏水。
西三河地域の多くで農業用水の供給が止まり、
試験的な通水が始まったものの現在もまだ水を待っている方々が沢山いらっしゃいます。
19日に取水施設で中継を行った際、
いち早い水の供給の為に続々とポンプが投入され、土嚢が積みあげられ、
時間を追うごとに明らかに川の流れが変化していく様子を目の当たりにし
現場の作業員の方々の働きぶりをとても頼もしく思いました。
…と同時に、漏水の原因となった「穴」へと不自然に流れていくその水の勢いに圧倒され、
自然の大きな力を前に、抜本的な対策には時間がかかるかも知れないと複雑な思いになりました。
当初工業用水が優先されたことに農家の方々は憤りや戸惑いを隠せない様子でした。
世界、日本に誇るものづくりの地。
24時間体制で水が必要な工業稼働を止めては、きっと多くの方が路頭に迷う。
そんなことはもちろん皆さん解っていらっしゃる。
それでも、我慢強い皆さんがここまで辛い気持ちを吐露するのは
農家の方々にとって1年で最も水を必要とする田植えのシーズンで
苗や田んぼ自体をダメにしてしまうかも知れない瀬戸際にいるからなのだと取材をしながら
痛感しました。
余談ですが、私の地元は岐阜で、実家の周りも田んぼばかりの地で育ってきました。
季節とともに青から黄色へと彩を変え、風が吹くと苗や穂が波を作り、朝夕の日で輝く。
田んぼを当たり前のように目にしながら、
こんなにも自然と繊細なバランスで営まれてきた根気のいる奇跡のような産業だと
意識することなく過ごしてきた自分にハッとしました。
水と空に真摯に向き合う人々の努力で生まれた奇跡だからこそ、
日本人は古くから手を合わせてこの言葉を口にするのだと改めて感じました。
「いたただきます」
当たり前ではなく、敬意と感謝をのせて…!
全ての農家の皆さん、いつもありがとうございます!
そして、願わくば一秒でも早く全ての方々に必要な分の水が届きますように…!!