佐藤 裕二

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ニュースの時間

校内暴力

いじめによる小中学生の自殺が跡を絶ちません。連鎖反応のように見えます。学校が殺伐としています。

一方で、今、小学生による校内暴力が増えています。文部科学省の発表では、昨年度の全国の小学生による暴力行為は2018件。過去最多となりました。

中でも深刻なのが小学生の教師への暴力。その発生件数は464件で、一昨年度に比べ38%も増えています。小学生が先生に暴力を振るう。信じられません。

愛知県教育員会によれば、愛知県内での小学生による教師への暴力は一昨年度は1件。昨年度は大幅増の15件でした。主な例は「ふざけて騒いでいる子供を注意したところ、教師に向かってくる。教師を罵る」などがあるということです。全国の例では「教師の胸ぐらをつかんだ」「教師めがけて椅子を投げつけた」「教師に故意に怪我をさせた」というものも報告されています。子供が教師を軽んじていることを感じさせます。

そこに家庭での親の言動があることは否めません。家庭で教師に対する不満・不振を口にする。それを聞いた子ども達は教師に対する、目上の者に対する敬意を忘れる。想像に難くありません。

一方で、北海道滝川市教育委員会が自殺した女子児童への「いじめ」を1年間も認めず、福岡県の中学校ではあろうことか担任教師が「いじめ」のきっかけを作り男子生徒が自殺しました。教師への不信感が増すのも無理はありません。

ただ、愛知県内の小学校に勤務する30代後半の男性教師は言います。「社会のつながりが希薄になった気がする。最近は直接教育委員会に、教師に対する苦情を言う親御さんも多い。昔は学校で子供をしかれば親に感謝され、近所のおじさんも子ども達をしかったものです」。

確かに大分の私の実家の近所にも、よく私達をしかってくれるコワいおじさんがいました。家の前を掃いていると褒めてくれるおばちゃんもいました。皆が子に責任を持ち、真摯に向き合う。地域全体が親となり、その成長を見守る。「子は社会の宝」です。