ドラゴンズ優勝
ドラゴンズ、2年ぶり7度目のセ・リーグ。おめでとう!次に目指すは悲願の日本一だ。
10月21日からの日本シリーズで52年ぶりの栄冠に挑む。
立浪和義。37歳。通算安打数2400本以上。通算2塁打数は470本を超え日本記録を更新中。言わずと知れたミスタードラゴンズである。
そんな立浪の名が、7月1日を最後にスタメンから消えた。
プロ19年目のベテランはどんな気持ちで代打の打席に立つのだろう。
立浪は言う。「代打は慣れない。歓声が大きいだけに凡退した時は10倍悔しい」。
しかし、その慣れない打席に漫然と向かうわけではない。
試合前のフリー打撃。立浪は1,2歩投手寄りに立ち、打つ。
試合中はブルペンへと向かう。リリーフ投手の投球練習の打席に立つ。ボールを見る。
いずれも速い球に目を慣らすためだ。「速い球に合わせることができれば、変化球はなんとかなる」。天才という名を欲しいままにしてきた男が必死だ。
いや、この見えない努力、準備があるからこそ実績を残し続けるのだろう。
選手会長の井上がこんな話を聞かせてくれた。
「俺もスタメンじゃないことが多くて複雑な気持ちだったけど、タツさんの言葉で吹っ切れたよ」。
自身もベンチを暖めることの多い立浪が「一樹。俺らは自分のことも大切やけど、チームのことを一番に考えんといかんとちゃうかなー?」と声を掛けたという。
立浪本人に確認すると「変な空気を出してもあかんしね」と照れくさそうに笑った。
どちらかというとクール。どちらかというと口下手。
そんな立浪がルーキーの藤井にバントを指導し、イニング間の外野手のキャッチボールに付き合う。
まばゆい光を浴び続けてきた男が、裏方を買って出る。
そんなチームリーダの背中を、選手たちが意気に感じないはずがない。
ファンに伝わらないはずがない。
試合中、ファンの歓声が最高潮に達するのは立浪がコールされる時だ。
「感謝の気持ちでいっぱいです」10月4日のお立ち台。立浪の目に光るものがあった。
立浪にとって 4度目の日本シリーズ。
これまで17試合に出場し60打数16安打、2割6分7厘、2本塁打、8打点。
なぜか二塁打が一本もない。
スタメンはあるのか。それとも一打席に賭けるのか。今年のシリーズ、期するものがあるはずだ。
大歓声のスタジアムで、日本一を決める立浪の一打を見たい。