林一歩警部を悼む
おととい(7月9日)、愛知県長久手町の発砲立てこもり事件で殉職した林一歩警部(享年23)の警察葬が営まれました。
あの夜、空は赤く染まっていました。5月17日(木)、立てこもり事件発生。
現場に向かいました。
現場周辺は、住宅街。
大林容疑者の自宅から半径300Mは立ち入り禁止となりました。
拳銃の弾が届くとされる距離300m。
交差点という交差点に、パトカーが停まり警官が立ち黄色の規制線が張られ、
上空では愛知県警のものと思われるヘリコプター3機が深夜まで旋回する。
無数の捜査車両が回す赤色灯で長久手の空は闇と赤が入り混じっていました。
現場から約600mのところには長久手町立南小学校があります。
発砲音を聞いた児童もますが、幸いにもその後、不調を訴える子どもはいないそうです。
ただ6月2日に行われた運動会では徒競走などのスタートの合図を、ピストルから笛に切り替えました。
私達市民の生活のすぐそばに銃が潜んでいます。
大林容疑者の凶弾を受け、23歳という若さで亡くなった林一歩巡査部長(その後2階級特進し警部)。
警察学校を124人中トップの成績で卒業、愛知県警の特殊急襲部隊SATの隊員でした。
ある機動隊員は言います。「23歳で巡査部長はかなり早い昇進。相当努力したはずです。
SATは警察の中でも特別の存在。自分には手が届かない。普通の警察官は諦める」と。
SATの入隊資格試験を受けるには所属長の推薦が必要で、中でも強靭な体力の持ち主でなければ合格することは出来ないそう。
SAT入隊を希望する機動隊員は、プライベートの時間を全て投げ打ってトレーニングに励むのが最低条件だとも言われます。
特に学生時代、格闘技で優秀な成績を残した人が多く、
岐阜県内の高校ではテニス部に所属していた林警部は人一倍努力したに違いありません。
前出の機動隊員によれば、SATは若い隊員と未婚の隊員がほとんどだといいます。
その危険度の高さからでしょうか。
妻と長女がいる林警部、おそらくはその正義感から志願してSATの隊員であり続けたのでしょう。
告別式では、林警部が書いた作文の一文が読み上げられました。
「目の前で人の命が危険にさらされていれば、バカと言われようとも助けに行きたい」。
林警部の愛娘は、まもなく1歳の誕生日を迎えます。