球けがれなく道けわし
水島新司さんの人気漫画「球道くん」の主人公・中西球道の名は、そんな言葉から付けられた。
白球は汚れていたのか?
一連の特待生問題で、「野球王国」愛知では、加盟186校中26校が処分を受けた。
高校野球はあくまで「教育の一環」である。高野連が野球特待を禁じているのは「野球ばかりに重きを置き、教育がおろそかになるのを正す」ことが目的とされる。
ただ、その他のスポーツでは特待制度が導入され、スポーツ留学も行われている。
球児達の努力や才能は認められないのか?
愛知県高野連の神谷理事長は、あくまで私見とした上で「高校スポーツの中で金品が動いていいのかと逆に問いたい。爽やかな高校野球を貫きたい」と声を大にする。
しかし、ある名門校の監督は「私学の学校経営という意味で、良かれと思ってやってきたのに」と打ち明ける。別の強豪校の関係者は「来年から選手が獲れない」と漏らす。
神谷理事長は「私学の独自性を妨げるものではない。素晴らしい施設、指導者という魅力のもとに自主的に生徒が集まる。これは理想的なこと」と話す。
こんな声がある。ある強豪校の選手の保護者は「学費免除だけでなく、金を貰ってる親がおるわけでしょう。それが問題では」。
そもそもプロ野球の裏金問題に端を発した今回の騒動。プロ球団から金品を受け取っている指導者はいないのか?
高野連の回答は「今回の調査の対象になっていません」だった。
高校野球の取材に行くと、グラウンド中の選手が動きを止め、帽子を取り「チワッス!」と大きな声で挨拶してくれる。
背番号を貰えなかった3年生は、必死にチームを支える。
野球に真剣に打ち込む球児達は、決して野球ばかりに重きを置いているわけではない。野球から様々なことを学ぶ。
いずれにしても、当該生徒は一ヶ月間対外試合の出場自粛となった。
享栄高校の佐藤監督は「毎週末、練習試合の予定でしたが、全て中止しました」と話す。
夏を前に実戦経験を積むこの時期に試合ができなかった。
来月14日開幕の夏の愛知大会は波乱含みだ。
しかし、球児達がこの3年間、「夏の甲子園」を目指して流した汗に嘘はない。