今年の漢字は「竜」
6年前の夏、背番号1は号泣しながら誓った。
「必ずナゴヤドームに帰ってきます」。
2005年の高校野球愛知大会。
愛知ナンバー1右腕と称された東邦の木下達生は、
ナゴヤドームで行われた準決勝でその夏を終えた。
物心ついた時からのドラゴンズファン。
川上憲伸に憧れた。
投球フォームはもちろん、帽子のかぶり方から歩き方まで真似た。
ドラゴンズの一員になるものだと信じていた。
迎えたドラフト。
指名されたのは日本ハムファイターズ。
札幌でプロの門をたたいた。
そしてこの秋、戦力外通告。
ドラゴンズに拾われた。
少し遠回りをした。
1軍の試合に出場できない育成枠ではある。
それでも20日後、沖縄でついにブルーのユニホームに袖を通す。
「まだ実感はありません」とはにかむ木下に
今年の意気込みを漢字一文字で表現してもらった。
「『竜』です」。
こちらを力強く見据え答えた。
あの夏から6年、背番号はずいぶん重くなった。
「206」。
木下達生23歳。
ドラゴンズ愛で、必ずナゴヤドームのマウンドに帰ってくる。