吉田沙保里、まさか
2003年の12月、
東京・代々木第一体育館。
レスリング全日本選手権の取材へ。
2004年アテネ五輪から正式種目となった女子レスリング。
その日本代表選考会。
朝、まだ21歳の女子大生だった吉田沙保里選手が会場入り。
ジャージにスニーカー姿。
一方、
当時、美人レスラーと騒がれ
吉田選手と代表権を争っていたライバルは
デニムにハイヒール。
その姿を見たときに、吉田選手の勝利を確信。
長く、日本を明るく照らす絶対王者誕生の朝。
あれから13年。
まさか、こんな日が待っていようとは。
3歳からレスリングをはじめ
父・栄勝さんの厳しい指導の毎日。
遠征が家族旅行代わり。
やめたいと思ったことはありますか?と聞けば
「あのお父さんがやめさせてくれる訳ないでしょ」と笑顔で答える。
誰からも愛され、
誰とも等距離で接する
屈託の無い霊長類最強女王。
どれだけ勇気をもらったか。
どれだけ笑顔にさせてくれたか。
稀代のスター、吉田沙保里。
日本中が
「ありがとう!」の準備をして
その帰国を待っている。