◇ 『名古屋テレビ特集』についての審議
【海へ!メダカを追って】 |
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今年、絶滅危惧種に指定されて私たちを驚かせたメダカが、なぜそういう状況に追い込まれたかが、中本賢の素朴な思い、疑問をとおして、わかりやすく解明されている。捕った魚や水棲昆虫、蛙などを「じゃあね、ぐっばい」と水に放す場面がとてもさわやか。 |
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工事現場の、土の採掘あとの水たまりに水棲昆虫がたくさん住むようになったシーンがあった。最近ビオトープ(動植物の生息空間)という言葉が一般化してきたが、人間の小さな配慮で結構自然が守れるということを示唆してくれた。 |
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まとまりのいいドキュメンタリーだが、サラっとしていてとっかかりがない。メダカの教養番組になりかかったのではないか。鮎の遡上の番組の時のような驚きがない。もう少し新しい視点が加わるとよかった。 |
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自然にとけこんでつくられていて、とてもいいと思った。南島町の汽水湖はめずらしいと思うが、このところハイキングが盛んで、自然を求めてやってくる人が多く、報道すると荒らされる心配はないか。
(この点に関しては、担当プロデューサーが、取材場所がはっきり判らないように、編集の段階で、映像処理に配慮していると答えた) |
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21世紀の環境問題を考えると、今よりは悪くしないために、環境の維持に一人一人が貢献しなければならない時期に来ていると思う。人々の意識の転換を求める意味からも、身近なテーマでこうした番組をつくることは有意義だと思う。 |
【堀川で泳ぎたい】 |
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白鳥小学校のこども達の声や好奇心、観察眼などを巧みに利用しながらアピールがなされている。未来の堀川の絵で示された、理想郷としての川(遊べる、泳げる、水をかける)は、暗にヘドロを生み出した現代社会を鋭く批判している。 |
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ヘドロなどの環境問題や、鯉を放流すると生態系がこわれるとか、のり養殖の漁民に与える影響など、堀川浄化にはいろいろな問題があるが、30分の枠の中で、よく内容がまとまっていたと思う。 |
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堀川は、川という名前はついているが実際は運河であり、川べりがないということもあって、市民にとって、川のような親しみや接する場がなかった。きれいにした後どうするのか、市民とのかかわり方は課題として残ったままあると感じた。 |
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10年間で、工場排水だとか下水道の整備を充実させることによって、少しづつきれいになってきたという解説があったが、行政や市民、企業の努力をもっと具体的に取り上げると、よく理解できたのではないか。 |
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最近、高校生が堀川でゴミを拾っているというニュースが報じられたが、この番組と重ね合わせると、自然を大切にしようとか川をきれいにしようという気運が、だんだん醸成されて、この番組の社会的意味が、さらに増すのではないかという感じがした。
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この他、二つの番組をとおして、環境という重大なテーマを大上段に振りかぶることなく、身近にある小さな事実からていねいに追いかけていて、説得力があった。という意見も出された。 |