制作意図
「戦争は過去にあらず」。私たちメ~テレ報道局が、戦争にまつわるニュースを伝える時にいつも意識している視点のひとつです。
戦後70年だった2015年は、特に多くの戦争関連企画に取り組みました。
共通のテーマは「戦争と、今」。戦争を過去の出来事としてのみ捉えるのではなく
「現在起きている事象の出発点」という視点を意識しながら取材を進めました。
その取り組みを、戦後70年で終わらせることなく、2016年も「戦後71年」として継続し、
地域の中で埋もれかけていた戦争の歴史を調べました。
取材の中でディレクターが掴んだのが、愛知県蒲郡市で戦争中に多くの漁船と漁師が徴用され、海外にまで派遣されていたという事実です。
多くの民間商船が徴用され、フィリピン近海で撃沈された史実は知られていますが、
漁船の徴用については詳細が分かっておらず、船団を組んで海外にまで進出していたことは驚きでした。
同じころ、防衛省が民間のフェリーと契約を結び、有事の際に運航することを報道で知り、
詳しく調べてみることにしました。すると、フェリーの運用に合わせ、海上自衛隊が「予備自衛官補」という制度を導入することが分かりました。
この「予備」に「補」がつく難解な用語の意味するところは何か。実は「有事の際の民間人の活用」であることに気付きました。
戦争中の徴用と、防衛省が進める「民間の活用」が我々の中で結びつきました。
新しい安保法制の下で、まだ報じられていない大きな変化が自衛隊の周りで起きている。
その一端を知り、是非を考えるための材料を集め、視聴者に伝えることを目的として、この番組を制作いたしました。
スタッフ
プロデューサー 村瀬史憲
ディレクター 依田恵美子
ナレーション 上田定行
撮影 矢野健一郎
音声 宇都木 琢
編集 竹内雅文
音効 村上祐美
編成 角田和穂
受賞歴
平成29年度文化庁芸術祭 テレビ・ドキュメンタリー部門 大賞受賞
第55回ギャラクシー賞 報道活動部門 大賞受賞
第44回放送文化基金賞 番組部門 テレビドキュメンタリー番組 優秀賞受賞
第37回「地方の時代」映像祭2017 放送局部門 優秀賞受賞