メ~テレ ドキュメンタリー

メ~テレ制作の本格派ドキュメンタリー

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放送内容

メ~テレドキュメント
2013年11月4日(月)

ぞうさん~群れ飼育と動物園の明日~

メインビジュアル

今も昔も変わらず子ども達を夢中にさせる動物「ゾウ」。動物園の集客には欠かせない看板動物だ。娯楽施設として発展してきた動物園は、ゾウの生き物としての権利を奪ってきた。来園者に見やすく、飼育員が管理しやすいように作られたゾウ舎は、コンクリートと鉄の柵で仕切られた単調なもの。ゾウが快適に過ごすことは無視され、個体が死ぬと代わりを輸入してきた。

動物保護などの流れから今、ゾウを本来の姿で飼うことが求められている。岐路に立たされた愛知県内の2つの動物園が、ゾウの“楽園づくり”を始めようとしている。

かつて「ゾウ列車」で有名だった名古屋の東山動物園。これまでゾウを輸入してきたが、“消費”にピリオドを打ち、繁殖に挑戦することを決めた。動物園の大改装とともに、ゾウ舎を新設し、自然と同じような「群れ飼い」を目指す。

豊橋総合動植物公園では、おととし9月、アジアゾウが赤ちゃんを出産。市は、ゾウを群れで飼う構想を打ち出した。だが、母ゾウは、育児放棄し、母子飼育もままならない。その上、去年になって子ゾウが両前足を骨折していることが判明…厳しいリハビリ生活が始まった。

一方の東山動物園でも、今年1月に子ゾウが誕生した。心配された育児放棄はなく、母ゾウの下、すくすく育っている。そして夏。新しいゾウ舎が完成した。これまでの4倍の広さに、水浴び場や体をこすり付ける木などが配置され、引っ越しが始まった。しかし、先住のゾウが移動を嫌がり引っ越しが進まない…

「理想」に向かって奮闘する飼育員ら動物園スタッフの様子やその中で生活するゾウたちをスケッチするとともに、野生動物を動物園内で繁殖させ飼育する課題を考える。

スタッフのつぶやき
ディレクター:青木桃子

「ゾウは社会性を持った知能の高い動物」
それを今回の取材で目の当たりにしました。
1年に渡りアジアゾウの出産と新ゾウ舎へのお引っ越しを取材した名古屋市の東山動物園でのこと。
ここにはオスのコサラ9歳、メスのアヌラ12歳、その娘さくら9カ月、最年長のワルダー41歳がいます。
まずは、出産での出来事から。
ゾウは初産の場合、陣痛の痛みでパニックになり、赤ちゃんを攻撃することがあります。野生では群れの出産経験のあるメスゾウが母ゾウをサポートするそうです。
東山ではこの時、出産経験ゼロのワルダーしかいませんでした。群れでの生活もしたことがありません。しかし、そのワルダーが隣の部屋で母ゾウのアヌラが陣痛で苦しんでいる時に、「大丈夫?頑張って!」と言わんばかりに 柵越しに鼻を伸ばして何度もアヌラの鼻を握っていたのです。まるで、立会出産の旦那さんの様に!
そのおかげで、アヌラは出産後も落ち着いていられたそうです。
続いて、新アジアゾウ舎へのお引っ越しで。
ゾウ達が新ゾウ舎に行くためには、柱で仕切られた長さ22m、幅2メートルの通路を自力で歩いて渡らなければなりません。
しかし、新しいものに対して警戒心を抱くと言われるゾウ。
そんな彼らがどんな反応を示すのかが撮影のポイントでもありました。
オスのコサラ。通路を見るなり、入口付近の鉄の柱を鼻で掴むように触ったり、叩いて音を出したりして感触を確認しました。そして、次に取った行動は、旧ゾウ舎にある鉄の柵の所へ行き同じように触ったり、叩いたりしたのです。
コサラは「あっ、一緒だ」というような顔をして、再び通路へ戻り渡っていきました。
東山動物園は新しいアジアゾウ舎で群れ飼育を目指しています。
それが実現すれば、ゾウがユニークで、どこか人間にも似たところがある生き物だということを間近で感じられるかもしれません。
また、豊橋総合動植物公園でも、東山動物園をしのぐ規模のゾウ舎が作られます。
愛知が〝ゾウの王国〟と呼ばれる日は近そうです。