TOPIC
放送内容

三重県尾鷲市立宮之上小学校の1年生の担任・中村佳栄先生とクラスの子どもたちが歌を作った。
大地震、大津波の時にどうすれば命を守れるのかを考えて作ったうた「てんでんこ」だ。
紀伊半島の南部、リアス式海岸にある尾鷲市は、これまで何度も南海トラフを震源とする大地震の大津波で大きな被害を被ってきた。想定される南海トラフ巨大地震では、高さ17mの大津波が、地震発生から10分前後で到達すると言う。
「てんでんこ」(つなみてんでんこ)とは「津波がきたらてんでばらばらに逃げよ」という東日本大震災の被災地・東北に伝わる先人からの教えだ。
岩手県釜石市ではこの教えを守り、大震災時に学校にいた小中学生全員が助かった。この「釜石の奇跡」は、群馬大学の片田敏孝教授が釜石市で8年かけて行った防災教育の賜物だ。尾鷲市は、去年、片田教授をアドバイザーに招き防災教育を始めた。中村先生は、尾鷲市を訪れた片田教授に啓発され、「てんでんこ」のうたを作ったのだ。「尾鷲の奇跡」を起こせないか、子どもたち、そしてその保護者の命を救えないかと考えて。歌詞は、子どもたちと話し合い、また自ら釜石市に赴き現地を見て考えた。
しかし宮之上小学校だけが頑張ってもダメだ。「尾鷲市全体に、この教えを広めなければ」、中村先生と子どもたちは、近くの保育園に出向いて歌ったり、市民イベントで紹介したりと活動を始めた。その活動に密着した。「尾鷲の奇跡!」を目指して。
「てんでんこのうた」
1番
♪ じしんが きたら あたまをまもれ
そのまま じっとだんごむし
ゆれがとまったら いそいでにげろ
ガラスとかべに きをつけて
てんでんこ てんでんこ てんでんこ
2番
♪ つなみがくるから いそいでにげろ
とおくじゃなくって たかいばしょ
ここならへいきと おもっちゃだめ
もっと もおっと たかいばしょ
てんでんこ てんでんこ てんでんこ
3番
♪ 100かいにげても からぶりばかり
それでも こんどもにげるんだ
じぶんのいのちは じぶんでまもる
つなみなんかに まけないぞ
おとなになっても わすれない
みんなのえがおが たからもの
てんでんこ てんでんこ てんでんこ
「てんでんこのうた」の練習
中村先生と1年の子どもたち
スタッフのつぶやき
ディレクター:高木豪将
三重県尾鷲市の宮之上小学校を訪れたのは、Jアラート(全国瞬時警報システム)の避難訓練の取材が最初でした。
去年7月に放送された「メ~テレ50周年特別番組、超巨大自然災害から命を守れ」で尾鷲市の津波防災の取り組みを紹介するためです。
取材当日は、土砂降りの雨、計画されていた高台まで走って逃げる避難訓練は校舎内の安全な場所へ避難することに変更されました。
100人以上の子どもが高台まで走っていく姿を撮影する予定だったのですができませんでした。
予定が狂ってしまったところに、挨拶をしたのが、この学校で防災を担当している中村佳栄(かえ)先生でした。
訓練の後に行われた1年生の授業参観を取材して驚きました。
地震、津波から身を守る方法を歌にしていたからでした。
聴いた瞬間、わかりやすい。
頭の中に残って自然と口ずさんでしまう〝すばらしい歌〟でした。
また、中村先生は子どもの命を守ることに一生懸命でした。
この先生の取り組みを紹介したい。
それから、10カ月、片道3時間かかる取材地、尾鷲市まで、幾度と無く通うことになりました。
行く度に伺える子どもの成長から、「来たる地震、津波から命を守ることができる」という確信に。