メ~テレ ドキュメンタリー

メ~テレ制作の本格派ドキュメンタリー

TOPIC
放送内容

メ~テレドキュメント
2008年12月18日(木) 午前9時57分~10時52分(再放送)

長い助走~タオルに賭けた町工場の記録~

  • 全映協グランプリ2008 テレビ番組部門 最優秀賞 「総務大臣特別賞」受賞
メ~テレドキュメント「長い助走~タオルに賭けた町工場の記録~」が 全映協グランプリ2008 テレビ番組部門 最優秀賞 「総務大臣特別賞」受賞!! 全映協(全国地域映像団体協議会)には、地域の映像文化に貢献する 映像関連団体が加盟していて、毎年優秀作品を選奨しています。 受賞社は名古屋テレビ映像株式会社。昨年に引き続き2年連続の受賞です。 メ~テレでは受賞を記念して、2008年12月18日午前9時57分~再放送します。
メインビジュアル

 三重・津市にあるタオル製造会社「おぼろタオル」。創業100年の老舗のタオル工場だ。しかし、中国から安価なタオルが輸入され始め、窮地に追い込まれている。このままではお先、真っ暗。そんな中、このタオル工場に、岐阜の撚糸会社「浅野撚糸」の社長が新しく開発した糸を持ち込んだ。この撚糸会社も、繊維産業不況の影響をもろに受けて青息吐息の状態にあった。どん底から抜け出すためには新商品を世に送り出さなければならない。「この糸でタオルを織れば画期的な新商品になる!」。目指す新商品は、フワフワで吸水性の高いタオル。意気投合した2人の社長は、このタオルに町工場の未来を託した。タオル職人たちの腕が試される。試行錯誤が続く毎日。果たしてこの商品は消費者に売れるのか…。
 東海経済は元気だ、といわれる中で、中小の町工場は悲鳴をあげています。職人の意地をかけ、起死回生を図る町工場の8ヶ月にわたる記録です。(2007年12月放送)

スタッフのつぶやき
演出:杉本幸雄

 地場産業は喘いでいる。そんな現実を目の当たりにしたのは、今年の一月頃のこと。ある番組の取材で町工場の経営者に話を聞いてからのことでした。各メディアが報じている好景気の風はここには吹いていない。それよりも明日をも知れない経営状況。そんな町工場の経営者が、ある新製品の開発を手掛けていることを教えてくれた。じり貧の工場を救うためには、もうこれしか残されていない。今までになかった新しい糸でタオルを作る話だった。
 中国をはじめアジアから送り込まれている製品が世の中を席捲している。低価格競争。メイド・イン・ジャパンの文字を見かけなくなった。物づくり日本の誇りがなくなった。職人たちの魂は何処へ消えたのだろうか。そんな思いの丈をも語ってくれた。
 このプロジェクトを見届けてみたいと私は思いました。先行きの見えない、プロジェクトを。撮影は今年の2月にクランク・インしました。果たしてこのタオルは成功するのだろうか?そんな心配をしながらも撮影はゆっくりと進んでいきました。結果の見えない撮影を続けることはとても苦痛を伴います。でも、このタオルの行く末を見届けたいという気持ちも強くありました。10月、ようやくある結果を見ることが出来ました。ひとつのハードルを越えた。成功への足がかりを掴んだとも言える結果が訪れました。喘ぐ町工場に一筋の光明が射し込んだように思いました。舞台はタオル業界ではありますが、これは今何処の地場産業にも言える話です。
 かつて日本の経済を支えてきたメイド・イン・ジャパンの誇り。タオルの小さなタグにそれは縫い付けられているように思えました。全てをつぶさに記録できたという確信はありません。昔、あるドキュメンタリー作家が言った言葉を思い出します。本当の姿を記録しようと思ったら、その人たちと一緒に暮らさないとその姿は見えないと。