TOPIC
放送内容

国内最大級といわれる産業廃棄物の不法投棄が去年3月、岐阜市で明らかになった。捨てられたごみの量は推定56万7000立方メートル。なぜ不法投棄が後を絶たないのか、これだけの「環境犯罪」がなぜ起きたのか?
「最終処分場が足りない」産廃関係者の共通認識だ。しかし処分場建設は住民の反対運動も激しく非常に難しい状況だ。処分場不足により捨て場所を求める排出、搬入業者から安値で大量の産廃を引き取り不法投棄を繰り返してきた善商。善商は何でも受け入れてくれる「便利な最終処分場」だった。摘発後、業界関係者からは「善商のような業者は必要悪なのかもしれない」との声も漏れてくる。国から自治体、自治体から業者へと問題を押し付けていった先にこの事件があったとも。国内最大規模の産廃不法投棄事件として岐阜県警が全容解明に乗りだした「善商」事件。巨大なごみの山は産業構造に基づく長年にわたる不法投棄と、それに目をつぶってきた産廃行政。今回の事件の裏側と闇の構造とは…。
積みあがった産廃
後を絶たない不法投棄
スタッフのつぶやき
ディレクター:河村清美
2004年10月5日午前11時。「河村さん今何しとるの!大変なことが起きとるで、早く善商に来なかんよ!僕も今から行くで・・・」。産廃中間処理業者「善商」社長、為重美紀被告が自ら私の携帯電話に一報を入れてきた。私は慌てて岐阜市椿洞に急行した。不法投棄現場に到着して私達の眼に飛び込んできたのは・・・「財産仮差し押さえ」の瞬間だった!岐阜市からの財産保全の申し立てを認めた裁判所が、敷地内の重機や建物など物件を次々に差し押さえていった。横山カメラマンは必死にその光景を収め藤田音声マンは音を撮り、メーテレ独占取材だった。
去年3月10日、岐阜市で明らかになった国内最大級といわれる産業廃棄物不法投棄事件。後を絶たない不法投棄。「これは善商の悪行、行政の失態だけで片付けてよいものなのか?」が取材を続けた私達の結論だった。全国から善商に持ち込まれた産廃は大半が建設廃材とみられている。マスコミ各社にはいまだに善商内部の映像、写真はない。善商の内部は私有地のため非公開だからだ。交渉を続けた結果、実質的経営者と社長がメーテレの取材姿勢に理解を示し撮影が許可された。2004年5月以降、10カ月以上にわたり私達は内部の独占撮影を続けている。国内最大級の産廃不法投棄事件。粘り強く時にはしつこく取材し続けてきたメーテレの独占映像を通し、知られざる業界の裏側と産業廃棄物を取り巻く社会問題を探る。