TOPIC
放送内容

「4000万円の一戸建てをローンで買ってしまったよ。」と笑顔で話すのは中京女子大レスリング部の栄和人監督だ。彼は自分の家を買ったわけではない。
2004年アテネ五輪から正式採用種目となった女子レスリング。この種目で日本は世界一の評価を受けている。中でも愛知県大府市にある中京女子大学は実力派揃い。4階級中3階級で同大学の選手がオリンピック代表に選ばれた。48kg級伊調千春、55kg級・吉田沙保里、63kg級・伊調馨の3人で、いずれも金メダル候補と言われている。
アテネオリンピックの日本選手団の中で、最も金メダルに近いと言われている中京女子大学女子レスリング部をここまで強くしたのが栄和人監督だ。栄監督はかつてロス五輪のレスリング日本代表の座を競った経験がある。しかし最終選考会を控えプレッシャーに負け代表の座を逃してしまった。栄監督は選手の気持ちは痛いほどわかる。そんな監督が、鬼監督として、レスリングの先輩として、また部員の父親役として…多感な女子部員の体と心鍛え育ててきた。
いくら強いといっても最近まではあまり知られていなかった女子レスリング。このため部の活動費用は選手の親や関係者が負担することになる。その極め付けが、選手たちの住まい、つまり「寮」を栄監督が自腹で買ったことだ。
中京女子大のレスリング部を世界最強といわれるまでに育て上げた栄監督とレスリング部部員の日々を追い、最強の秘密を探った。
ナレーション 桜井幸子
栄和人監督
坂本真喜子選手、栄和人監督、 伊調千春選手
スタッフのつぶやき
ディレクター:宮本 洋志
今でこそ五輪代表選手を輩出し注目を集めるようになった中京女子大学レスリング 部だが、取材を始めると同時に、この超マイナースポーツの厳しい現実を目の当たり にした。
東京で試合がある時は、大学のある愛知県大府市から4台のバンに分乗し、5時間 かけて移動する。 高速代、ガソリン代、宿泊代は当然自腹。選手たちは練習があるため、バイトは禁止。
そうなると、遠征費用の多くを選手の親や関係者が負担することになる。
そして、極めつけは監督が購入した『4000万円の一戸建て』。 今や日本最強の女子レスリング部を作り上げた栄監督だが、同時に、選手たちの住ま いとなる『寮』を自ら購入するハメになったのである。
今年4月13日に行われた五輪代表決定戦は、伊調千春と坂本真喜子という中京女 子大同士の同門対決となった。集まったメディアはおよそ50社200人。アマチュ アレスリング史上過去最高の盛り上がりを見せた。そして、アテネオリンピック金メ ダル最有力と言われる女子レスリングは今、異常なまでの注目を浴びている。
しかし、財政状況はというと…変わっていない。あいかわらずなのだ。それでも、選手たちはつらい練習に耐え、時には涙を流し、時には笑う。そこには、黙々とレス リングに打ち込んでいる選手たちと、そんな選手たちを叱咤激励する監督がいるだけ である。
ひたすら一生懸命。だから応援したくなった。