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2004年10月30日 14時30分~15時25分放送
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秘境!雲南音楽紀行
~少数民族が残したアジアのDNA~ |
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ディレクター 海老名敏宏
長江(揚子江)上流、金沙江の流れは、雨季の時期と重なって谷底深く茶色の濁流と化していた。険しい山岳地帯を縫うように下る長江は、私の憧れであった。中国雲南省麗江県、少数民族が多く暮らすこの地域は近年になってようやく車が通れる道が開通した。それまでは人々はロバに荷を負わせ険しい山道をたどり、谷をわたりいくつもの峠道を越えなければならなかった。私たちがたどる道も、「茶馬古道」と呼ばれる西南シルクロードのルートである。雲南や四川省の物産をロバに背負わせ、多くの商人たちが遠くチベットやネパールを越え、インドへ向かった世界でもっとも厳しいといわれる道である。秘境であるが故の隔絶された文化が、現在もここに残されてきたのもうなずける。
私が雲南に興味を抱いてきた理由のひとつに、日本文化の源流が雲南にあるという文化人類学者の本を読み漁ってからである。稲作文化の源流、日本人のDNAとよく似た民族構成、日本人とそっくりな顔、その他、日本人の郷愁を誘うような風景にもよく出会った。これらの文化が長江を下り、日本にたどり着いたという想像(空想)は無限のロマンを育ててきた。中国琵琶奏者のティンティン(中部大学大学院博士課程文化人類学専攻)の修士論文を読んで、私の興味はいっそう雲南に惹きつけられた。なにしろ、敦煌の壁画に描かれ、今では失われたといわれた古代楽器や、唐や宋、漢の時代の宮廷音楽が、今もこの地方に暮らす納西族に残されているというのだ。しかも、その古代楽器は、日本の奈良正倉院に伝えられているシルクロードの遺産、古代琵琶にもつながるという。日本の雅楽とつながる音楽が、辺境の山岳地帯に残されている不思議を無視するわけにはいかない。
今回の番組は中国西安からの留学生であり、中国琵琶奏者のティンティンが研究を兼ねて、中国古代の宮廷音楽と楽器のルーツをたどる旅である。
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