2006年8月14日(月) 午前10時25分~11時20分放送
 
命をかけて
入市被爆者 原爆症認定訴訟を闘う
 
 
入市被爆者の甲斐昭さん(79)
 

  原爆投下直後に海軍の命令に従って広島市内に入り救援活動を行い被爆した甲斐昭さん(愛知県知多市)。甲斐さんは爆心地付近を歩き放射線に汚染された土・埃を吸い水も飲んだ。
 甲斐さんは広島を出た後、下痢などの急性症状に襲われた。その後甲状腺悪性リンパ腫や原因不明の発作・倦怠感等による入院・手術を繰り返す生活を送ってきた。国は甲斐さんのような「入市被爆者」を原爆症と認定していない。
 2003年、高齢化している入市被爆者が、生きているうちに被害を認めて欲しいと、全国で集団申請・集団訴訟を起こした。甲斐昭さん(79)は名古屋地裁に第1号の原告として提訴。病気と被爆の因果関係が不明だとして、これまでほとんど認められなかった入市被爆者の原爆症認定を裁判で訴えている。東京・大阪・広島・長崎・札幌などでも裁判が起こされた。名古屋での裁判では、自らが被爆者でありまた物理学の専門家・元名古屋大学教授の沢田昭二氏も証言にたった。
 2006年5月、大阪地裁で判決が出た。入市被爆者2人を含む9人全員の内部被爆を認める画期的な「勝訴」判決だった。(国は控訴)甲斐さんたちの名古屋訴訟は9月にようやく結審する。
 番組では、甲斐さんの病気に苦しみながらの裁判活動と、日々の暮らしを追いかけ、命がけの闘いと被爆の実相に迫る。
 
 
集団原爆症認定訴訟 広島を訪れた甲斐さん