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2007年12月19日(水) 深夜1時45分~2時40分放送 |
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長い助走
~タオルに賭けた町工場の記録~ |
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演出 杉本幸雄
地場産業は喘いでいる。そんな現実を目の当たりにしたのは、今年の一月頃のこと。ある番組の取材で町工場の経営者に話を聞いてからのことでした。各メディアが報じている好景気の風はここには吹いていない。それよりも明日をも知れない経営状況。そんな町工場の経営者が、ある新製品の開発を手掛けていることを教えてくれた。じり貧の工場を救うためには、もうこれしか残されていない。今までになかった新しい糸でタオルを作る話だった。 中国をはじめアジアから送り込まれている製品が世の中を席捲している。低価格競争。メイド・イン・ジャパンの文字を見かけなくなった。物づくり日本の誇りがなくなった。職人たちの魂は何処へ消えたのだろうか。そんな思いの丈をも語ってくれた。 このプロジェクトを見届けてみたいと私は思いました。先行きの見えない、プロジェクトを。撮影は今年の2月にクランク・インしました。果たしてこのタオルは成功するのだろうか?そんな心配をしながらも撮影はゆっくりと進んでいきました。結果の見えない撮影を続けることはとても苦痛を伴います。でも、このタオルの行く末を見届けたいという気持ちも強くありました。10月、ようやくある結果を見ることが出来ました。ひとつのハードルを越えた。成功への足がかりを掴んだとも言える結果が訪れました。喘ぐ町工場に一筋の光明が射し込んだように思いました。舞台はタオル業界ではありますが、これは今何処の地場産業にも言える話です。 かつて日本の経済を支えてきたメイド・イン・ジャパンの誇り。タオルの小さなタグにそれは縫い付けられているように思えました。全てをつぶさに記録できたという確信はありません。昔、あるドキュメンタリー作家が言った言葉を思い出します。本当の姿を記録しようと思ったら、その人たちと一緒に暮らさないとその姿は見えないと。 |
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