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2009年3月27日(金) 午前9時57分~10時51分放送 |
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責任の所在
~耐震偽装事件で行政に初の判決~ |
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ディレクター 安藤則子
愛知県半田市のセンターワンホテル半田の耐震強度に偽装があったと愛知県が発表したのは2005年12月4日。その夜、ニュースデスクの勤務だった私は、初めて、中川三郎社長と電話で話した。ホテルは、独自の調査で県よりも早く、偽装をつきとめ、自主休業をしていた。受話器の向こうの声は、緊迫していた。事件の全容をつかみたい、真相を知りたいという社長の思いが伝わってきた。
あれから、この番組の放送日まで1200日を越える時間が流れた。偽装の実行者、姉歯秀次元1級建築士をはじめとして、事件に絡んで登場する人物たちはみな個性的。事件発覚当時はさまざまなメディアが沸き立った。その中で、中川さんは、はじめから建築行政の不作為を睨んでいた。姉歯元建築士による偽装は、「ブラックボックス」と言われたコンピューターによる電算部分だけではない。図面を注意深く見たり、照合すれば、容易に見つかるであろう問題点や間違いも含んでいた。中川さんは「建築確認の審査をきちんとしていたら、偽装は見抜けたはずだ」と考え、ホテルの構造計算書を確認審査した愛知県を提訴した。タイトルの「責任の所在」とは中川さんの口癖だ。一方、県は、旧建築基準法のもとでは、偽装を見抜くほどの審査をする義務はなかったと主張。争点のかみあわない裁判は3年を越した。
裁判のため、事件の真相をつかむため、中川さんが集めた証拠、資料は莫大だ。 一連の事件で、私たちが取材したテープは450本を越えた。判決が出るまでは放送しない、行政の不作為に審判が下されるまで放送しないと決め、私たちも、ただただ判決日を待ち続けた。結果は、ご存知のように、中川さんの勝訴だ。今回の判決は、漫然とある「お役所仕事」を断罪したものだと思っている。
ところで、不思議に思うことがある。ホテルに何か大きなことがある日、たとえば社員の方々の解雇の日、解体工事初日、再オープンの日、判決日などなど、全て雨なのだ。中川さんの「雨男ぶり」には、ほとほとあきれてしまう。そんな「雨男」の中川さんは、実は「お祭り男」でもあるのだ。いつもは、その思いをぐっと呑み込んで渋い顔をしている中川さんだが、いったん祭りのハッピをはおると、あっと驚く大変身をとげるのだ。山車を先導し、走り、目が輝く。
番組は、権力を持たない市井に生きる1人の男性が、県を相手に戦った記録だ。わが身に置き換えてご覧いただけたら嬉しいと思いながら制作している。
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