鈴鹿サーキットのグランドスタンドから目の前に見えるピットエリア。
「8耐」になると約50のレーシングチームがレースの拠点を構えているのがよく見えます。
「ピットイン」という言葉がありますが、サーキットを疾走するオートバイが選手交代と同時に燃料給油やタイヤ交換などをこのエリアでおこなうためにピットに戻ってくることです。
オートバイは「ピットアウト」してレースを続けていくわけです。
このチームが拠点を構える空間をパドックエリアといって、マシンの整備や交換部品の準備そして作戦を立てたり、次に乗るライダーが控えていたりとまさに戦場の城の中といった具合で、実はこの中に様々な人間ドラマがあってドキュメントを作るには実に面白い空間なのです。ただしとても狭いです。
各チームに与えられたパドックは縦に細長~く伸びていて、例えば交換したての熱々のタイヤ(路面温度は60度を超えている!)を血相を変えたスタッフがやけどしながら、パドック裏のタイヤメーカーのテントまで運んでいったりと、常にパドックの真ん中はピットからパドック裏まで真っ直ぐな動線になっているのです。
で、私達取材スタッフは最低でも、ディレクター、カメラマン、そして音声さんと3人で行動しますが、この3人がかたまって動くことが出来ない。
でも、カメラマンの危険を音声が、音声さんの危険をディレクターが見ておかないと、我々の機材が、我々中年の身体があっと言う間に周辺のレース機材を倒しかねないのです。
その様は常に往来するチームスタッフや関係者らの波にアレ~ッ!と飲み込まれ、3人がバラバラになってしまうこともしばしばです。
ここ「鈴鹿8時間耐久ロードレース」を4年間取材してきました。
毎年暑い夏真っ盛りの日々です。
毎回思いました。
「あのアツい所へ本当に行くの?」。
自分で仕込んでおいてですが・・・。
レーシングコースを撮影するスタッフとは、朝スタート前に別れ、合流するのは約12時間後です。
夕暮れに彼らと出会うと顔グロでヘロヘロになっています。
「気づかなかったフリして通り過ぎようか・・・」。
これも自分で仕込んでおいてですが・・・。
その集大成のひとつが冬に放送することになりました。
「来年も行きたいなぁ」。みんなと一緒に。
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