五十嵐 信裕
東京都出身。1990年メ~テレ入社、東日本大震災では被災地でANN現地デスクを経験。報道局防災担当部長や防災特番『池上彰と考える!巨大自然災害から命を守れ』プロデューサーなどを経て、現ニュースデスク。防災関係のNPOの特別研究員や愛知県防災減災カレッジのメディア講座講師も務め、防災・減災報道のあり方について取材と発信を続ける。日本災害情報学会・会員 防災士。
2024/05/26
「雨の季節」が近づいて来ます。気象警報などの防災情報が発表される機会が増えます。防災情報は、人命に直結する情報」です。防災情報のうち、接する機会の多い「気象警報・注意報」について考えます。
気象警報など防災情報は「00分、05分、10分、30分など、キリがいい時間に発表される」と思っている方が多いようです。
しかし、行政機関(お役所)が発表するので、「整った数字の時間に出すのでは」というのは大きな勘違いです。
気象警報・注意報は、危険な現象が起こると予想される3〜6時間前、急な場合でも2〜3時間前には発表します。そのタイミングは予報官が「出さないと」と思った時です。
5分、10分、30分などキリのいい時間まで待つことはありません。人の命がかかっています。「ヤバい!」と判断したら、時を待たずに出します。
これは、他の防災情報も同じです。
気象庁は、特別警報、警報、注意報を、予め決めてある基準に沿って発表します。
例えば「大雨警報」は、観測値から算出された指数が…
■大雨警報(浸水害)
【名古屋市】表面雨量指数 23
【東海市】表面雨量指数 17
■大雨警報(土砂災害)
【名古屋市】土壌雨量指数 145
【東海市】土壌雨量指数 159
に達するか、達する可能性が高い場合に発表します。
上記、名古屋市と東海市の例からわかるように、基準値は市町村によって違います。
街の環境・状況(地形、地質、街のつくり、過去の災害の発生状況)に応じて決めます。
同じような雨が降っても「大雨警報」が出る街と出ない街があるわけです。
各市町村の基準値は気象庁のHPで確認できます。
※表面雨量指数=降った雨が、地表面にどれだけ溜まっているかを示す数値
※土壌雨量指数=大雨で土の中にどれだけ水分が溜まっているかを示す数値
特別警報は6種類、警報は7種類、注意報は16種類あります。
防災情報にはこのほか、川の情報(はんらん情報)、土砂災害警戒情報、避難情報とたくさんあります。
「警報が出たら、早めの避難を」と言いますが、これだけ種類があると「何がなんだかわからない」という声も上がっています。
そこで、国は、危険度に合わせて「色をつけて」わかりやすくしています。現在は、高齢者など要支援者は「レベル3・赤」、健常者は「レベル4・紫」で全員避難としています。「黒」は、災害が起きているとして「緊急安全確保」です。
それでも「種類が多いし、名前がごちゃごちゃしていて、わけがわからない」と言う指摘があります。
国や気象庁などは、防災に関する情報をシンプルでわかりやすくする必要があるとして、検討会で議論を進めています。
いつ、どこで、どのような形の災害が起きるかは、事前にわかりません。とにかく「早めの避難」です。そして高齢者など要支援者は「より早い避難」です。何も起きなかったら(大きな被害がなかったら)、「外れてよかったね」と思いましょう。
東京都出身。1990年メ~テレ入社、東日本大震災では被災地でANN現地デスクを経験。報道局防災担当部長や防災特番『池上彰と考える!巨大自然災害から命を守れ』プロデューサーなどを経て、現ニュースデスク。防災関係のNPOの特別研究員や愛知県防災減災カレッジのメディア講座講師も務め、防災・減災報道のあり方について取材と発信を続ける。日本災害情報学会・会員 防災士。