五十嵐 信裕
東京都出身。1990年メ~テレ入社、東日本大震災では被災地でANN現地デスクを経験。報道局防災担当部長や防災特番『池上彰と考える!巨大自然災害から命を守れ』プロデューサーなどを経て、現ニュースデスク。防災関係のNPOの特別研究員や愛知県防災減災カレッジのメディア講座講師も務め、防災・減災報道のあり方について取材と発信を続ける。日本災害情報学会・会員 防災士。
2024/06/02
気象情報(天気予報)で気象予報士やキャスターが「ザーザーと降る」「バケツをひっくり返したように降る」と言うことがあります。どの放送局も同じ表現を使います。なぜ同じなのでしょう?
日本のほとんどの街やインフラ(川、下水路、排水システム)は、1時間あたりの降雨量50mmに対応できるように作られています。
国土交通省のOBによると、昭和時代に決められた基準で、当時の雨の降り方を参考にしたそうです。
1時間に50mm以上の雨が降ることは稀で、この量の雨水を処理できれば(流せれば)十分だったと言います。
今「1時間あたりの雨量50mm」の回数は、昭和より増えています。
気象情報で予想降水量や実績値が50mmを越えそうな場合は「超警戒!」です。
放送局など報道機関は、このような危機感をどう伝えようか試行錯誤を続けています。その中に「気象情報での表現」があります。
例えば、1時間あたりの雨量では以下のようにしています。
【猛烈な雨】・・・80mm以上→外を歩くのが困難
【非常に激しい雨】・・・50〜80mm未満→傘がまったく役に立たない
【激しい雨】・・・30〜50mm未満→バケツをひっくり返したように降る
【強い雨】・・・20〜30mm未満→どしゃ降り
【やや強い雨】・・・10〜20mm未満→ザーザー降る
【弱い雨】・・・ 0〜3mm未満→ポツポツ降る
これは気象庁が定めた「天気予報等で用いる予報用語」を使っているからです。
私たちは、このルールに則して伝えています。バラバラだと「正しい危機感」が伝わらないからです。気象情報は「命を守る」情報です。
上記のほかに1時間あたりの雨量20mm〜30mm未満の場合に「人が受けるイメージ」として、「傘をさしていても濡れる」「ワイパーを速くしても見づらい」とも記されています。
これは身近で体感的な表現で、危険の度合いがわかります。
「危ないかも」と感じるレベルは人それぞれ違いますし、状況によっても変わります。
気象予報士・キャスターが伝える最新情報を参考にして行動を考えて下さい。
東京都出身。1990年メ~テレ入社、東日本大震災では被災地でANN現地デスクを経験。報道局防災担当部長や防災特番『池上彰と考える!巨大自然災害から命を守れ』プロデューサーなどを経て、現ニュースデスク。防災関係のNPOの特別研究員や愛知県防災減災カレッジのメディア講座講師も務め、防災・減災報道のあり方について取材と発信を続ける。日本災害情報学会・会員 防災士。