「大雨警報」は2種類 どんな危機が迫っているのかを把握

2024/06/09

「大雨警報」は、大雨による重大な土砂災害や浸水害が発生する恐れがあるときに気象庁が発表します。「どうすれば住人に危機感を伝えられるのか?」を検討した結果、現在は2種類となっています。

「大雨警報」は2種類

「大雨警報(土砂災害)」は土石流などが起こる危険性が高い時に出される

「大雨警報」には2種類あります。「大雨警報(土砂災害)」と「大雨警報(浸水害)」です。

以前は単に「大雨警報」でしたが、気象庁は、2010年5月から(土砂災害)(浸水害)を付記して発表しています。テレビの速報スーパーにも、このカッコ書きがついています。

「警報を出しても住人が避難してくれない。どうすれば住人に危機感を伝えられるのか?」と検討した結果です。

具体的な災害を示せば「避難しなきゃ」と思ってもらえるのではと考えてのことでした。

「大雨警報(土砂災害)」は、雨がたくさん降り、がけ崩れや土石流などが起こる危険性が高い時に出されます。

「大雨警報(浸水害)」は、雨がたくさん降り、下水などでの排水が追いつかなくなり、街が浸水する可能性(内水氾濫)が高まった時に出されます。

住宅街の側溝が溢れたり、街中のマンホールから水が吹き上がったりして、一帯が水浸しになる可能性が高まっていることを伝えます。

「大雨警報」が出たら、カッコの中を確認し、どんな危機が迫っているのかを把握して、適切な避難行動を取って下さい。

「わかりにくい」という指摘も

気象庁提供

しかし「大雨警報」の細分化の導入から10年以上経って、住人の避難率が高まったというデータは出てきていません。

気象庁は住人に危機感を伝えようと、次々と新しい警報類を開発し発表するようになっています。

新しい警報類発表が可能になったのは、入手できる気象データが増えたこと、気象解析技術の発達、気象庁のスパコンの性能アップなどによるものです。

しかし増えすぎたので、今度はかえって「わかりにくい」という指摘を受けています。

現在、気象庁は「受け手側の立場に立った」情報に改善する検討を行うため、

学識者、報道関係者等による「防災気象情報に関する検討会」を開き、シンプルでわかりやすいものにするよう検討を進めています。


五十嵐 信裕

東京都出身。1990年メ~テレ入社、東日本大震災では被災地でANN現地デスクを経験。報道局防災担当部長や防災特番『池上彰と考える!巨大自然災害から命を守れ』プロデューサーなどを経て、現ニュースデスク。防災関係のNPOの特別研究員や愛知県防災減災カレッジのメディア講座講師も務め、防災・減災報道のあり方について取材と発信を続ける。日本災害情報学会・会員 防災士。

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