2020年4月5日放送
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放送人権員会は2020年2月14日、「宗教団体会員からの肖像権等に関する申立て」に関する委員会決定を公表しました。この事案は、テレビ東京が2018年5月16日に放送した『ゆうがたサテライト』内で、オウム真理教の後継団体であるアレフの動向に関するニュースを放送。その中に、アレフの信者である申立人が登場する部分があったが、申立人の顔にはボカシがかけられていたものの、音声の一部が加工されていませんでした。申立人は、再三撮影をしないよう訴えたにもかかわらず無断で全国放送され、肖像権とプライバシーが侵害された、さらに、取材や編集の方法において放送倫理上の問題があるとして、テレビ東京に対し謝罪と映像の消去などを求めて、放送人権委員会に申立てを行ったものです。
委員会は、審理の結果、プライバシー、肖像権の侵害はなく、放送倫理上の問題もないと判断しました。ただし、委員会は、放送内容に高い公共性・公益性があるとしても、個人のプライバシー保護を徹底させることは、放送の目的と何ら矛盾することではなく、両立しうることであると考える。それは本件ニュースにもあてはまるとして、テレビ東京に対して、ボカシの濃さや音声加工についての技術的な処理の問題、事前のチェック体制など段取りの問題、プライバシー保護に対する関係者の意識の問題など、様々な観点から再発防止に向けた取り組みを強めることを要望しました。
青少年委員会は2020年3月9日付で、「リアリティショーを模したセクハラ・パワハラ場面を含むバラエティー番組」に関する「委員長コメント」を公表しました。「委員長コメント」は、「審議」には進まないものの、青少年委員長として、特に注意・配慮してほしい点などを述べたものです。コメントの概要は以下のとおりです。
一般女性のアイドル歌手候補者のオーディション審査過程で、プロデューサーの役割を担った男性お笑い芸人が、候補者に対してセクハラ・パワハラを行う場面をリアリティショーとして見せる連続バラエティー番組が2019年に放送された。アイドル候補者は初回放送スタート時点では番組の意図を知らされていない未成年を含む一般人であり、途中で番組の性質について知らされたものの、選抜されるためにセクハラ・パワハラ行為を我慢しなくてはならないというリアリティショーとして番組は進行した。そのため青少年の視聴者が、このようなセクハラ・パワハラの経験を強要される現実があるのだ、と思い込むなどの悪影響を及ぼすとして、視聴者から多くの批判的意見が寄せられた。
青少年委員会では、この番組を視聴した結果、視聴者にリアリティショー番組のようにみえるバラエティーという制作手法はユニークであり、視聴者だけでなく、制作者の間でも評判になった。しかし多くの視聴者には、アイドル歌手候補者にオーディション審査過程でお笑い芸人によるセクハラ・パワハラが行われたと見え、それが批判的な視聴者意見につながった、と考える。大人や年長の青年は、こうしたリアリティショーを模したバラエティー番組の、リアルと作り込まれたシナリオの微妙なバランスを理解できるかもしれない。しかし、特に年少の視聴者が実社会のオーディションなどでこのようなセクハラ・パワハラが行われているというイメージを形成する可能性がある。セクハラ・パワハラに対する問題意識が広く社会的通念として確立しつつあるなかで、青少年への影響を考慮し、番組の中にセクハラ・パワハラを容認するような内容が含まれないよう、番組制作者は十分に注意されたい。詳しくはBPOのホームページをご覧ください。
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