部下などから5800万円超の借金をした市職員 返済しないまま亡くなる なぜ巨額に 愛知・豊橋市

2024年12月13日 13:23
「個人間の問題」と言い切れるのでしょうか。愛知県豊橋市の男性職員が、部下など50人あまりから5800万円を超える借金をして、返済しないまま亡くなりました。なぜこれほど巨額になるまで止められなかったのでしょうか。
「100万円以上貸しました。貸したものは返してよと」(お金を貸した元部下)

 悔しさをにじませる男性。100万円以上を貸した相手は、自身の上司で定年退職を間近に控えていた、愛知県豊橋市の課長級の男性職員でした。

「お金を返すのは普通は筋じゃないですか。逆に貸した時の自分がバカだったなという思い」(お金を貸した元部下)

 課長級職員と同じ部署で働いていたという元部下の男性。2020年夏ごろから「家庭の事情」などを理由に何度も電話やメールで借金を申し込まれたということです。
 
 相手が上司だったことや、その人柄から断りづらかったと言います。

「誰が見ても温厚で優しくて問題を起こすような上司ではないと自分は認識しています。退職が間近でしたので、『退職金で返す』と本人は言っていました」(お金を貸した元部下)
 

お金を貸した元部下

お金を返さないまま課長級職員は死亡
 元部下の男性は最終的に100万円以上を貸すことに。
 
 ところが、この課長級職員は借りたお金を返さないまま、2021年11月に死亡しました。

 直後から、亡くなった課長級職員が複数の部下からお金を借りていた事実が広まりました。

お金を貸した人からは、
「仕事に熱心だったし、人をだますような人間とは思えなかった」
「最初は少額で、私ひとりを頼ってきたと思ったから。まさか他に多数の人からも同様に借りているとは思っていなかった」などの声が上がっています。
 
 お金を貸したという部下たちは弁護士と相談。その過程で、課長級職員は、部下や知人など、あわせて50人余りから借金を重ねていたことがわかりました。
 
 債務整理を担当する弁護士が示した資料によると、57人から総額5854万円。内訳は1人10万円以上がほとんどで、100万円以上が13人。中には1275万円を貸した人もいました。
 

豊橋市 長坂尚登市長

返済額は総額5800万円のうち4%にも満たない金額
 この金銭問題については、長坂尚登市長が市議だった6月の議会で質問していました。

「職員が在職中に数十人の職員などから非常に多額の借金をし、未返済となっている事案に対する市の認識や対応について、当該職員の金銭貸借に関し、調査の必要性についてお聞きします」(豊橋市議会 長坂尚登市議 (当時))

 朝日新聞がこの金銭問題を複数回にわたり報じたことなどで、広く世間にも知られることとなりました。
 
 この借金は去年、債務整理の手続きがあり、約230万円を返済することが提示されました。総額5800万円のうち4%にも満たない金額です。

 12月定例会中の豊橋市議会。11日の一般質問ではこの問題が取り上げられました。

「幹部職員が多くの部下に多額の借金を残して亡くなりました。個人間の問題として片づける事案ではありません。第三者委員会で調査をするべきです」(豊橋市議会 寺本泰之市議)

 議会では市側から明確な回答はありませんでした。議会後、取材に応じた長坂市長はーー

Q.今後の調査 委員会の設置などは
「現時点では、そういうことはないと考えています」(豊橋市 長坂尚登市長)
 

豊橋市は取材に対し「事実関係がわからない」  

金銭問題の背景には上司と部下の人間関係が絡む
 ただ、金銭問題の背景には上司と部下の人間関係が絡みます。

 ここまで借金がふくらむ前に、市役所内で止める手立てなどはなかったのでしょうか。お金を貸したという人からは

「会合が開かれ、次課長クラスのお偉方に『この話は副市長まで知っている。交渉は俺たちに任せておけ。公務員として節度のある行動をとれ。単独に相手とは接触するな』と言われれば、誰もが従いますよ」(お金を貸したCさん)

 豊橋市は、メ~テレの取材に対し、「事実関係がわからない」「内容も職務に関連したことでもなく、個人間のお金の貸し借りだととらえている」としています。

(2024年12月11日放送 ドデスカ+より)
 

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