車の保有巡り「生活保護の支給停止は違法」鈴鹿市に賠償金支払い命じる判決 津地裁

2024年9月26日 19:31
保有する車をめぐる指導に従わずに生活保護の支給を止められた三重県鈴鹿市の女性が処分取り消しを求めた裁判で、津地裁は処分取り消しを命じる判決を言い渡しました。

 津地裁

 鈴鹿市に住む72歳の女性。手足などがしびれる障害で10年以上前から最も重い等級の身体障害者に認定されています。

 「自分でも嫌になる。すぐ立てない。車がなかったらどうしようもない」(原告の女性)

 女性にとって、通院や買い物など生活に欠かせない車ですが、この車をめぐるトラブルで2年前、鈴鹿市に対して裁判を起こしました。

 訴状によりますと、2019年、女性は市に生活保護を申請。

 受給はすぐに決まりましたが、車の保有は認められませんでした。
  
 さらに、車は20年以上前につくられた古い小型車ですが、市は資産価値を証明する見積書を出すよう求めました。

 女性は、市の要求が生活保護法における「必要最少限度」の指導を超えているとして、見積書を出しませんでした。

 市は、指導に従わなかったとして生活保護の支給を停止。

 女性は、指導は違法だったなどとして、処分の取り消しと損害賠償を求める訴訟を起こしました。

 「私にとって車は足です。私の足は走れないし、杖がないと歩けないから、車なら運転できるから」(原告の女性)
 

原告側弁護士の会見

「原告に自動車の保有を認めるべきだと裁判所がはっきり言っている」
 26日の判決で津地裁は、生活保護の支給を停止した処分を違法として処分取り消しと賠償金15万円の支払いを鈴鹿市に命じました。

 また、車の保有をめぐる鈴鹿市の判断については、「通院での福祉運送車両の使用は不可能で、タクシーの利用も現実的ではない」「保有を認めなかったことは裁量権の濫用にあたり違法」と指摘しました。

 「よく頑張りました。皆様と共に感謝しても感謝しきれません」(原告の女性)
 「原告に自動車の保有を認めるべきだと裁判所がはっきり言っている。これは画期的」(原告側 芦葉甫 弁護士)
 
 一方、鈴鹿市は判決について「主張が認められずに残念」とするコメントを発表しました。
 
 「今後については判決の内容を精査して対応する」としています。
 

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