“知る人ぞ知る”準硬式野球に打ち込む、大学トップクラスの実力のピッチャー 目標は同級生のドラ石川昂弥
2023年11月23日 17:54
一般的に馴染みがあるのは、プロ野球などで使われる網目のついた硬式ボールだと思いますが、今回は外は軟式球と同じようにゴム製で、中は硬式球とほぼ同じ作りのボールを使った“知る人ぞ知る”野球に力を注ぐ大学生に迫ります。
中京大学 道崎亮太投手
11月14日。聖地・甲子園で、ある「史上初」の大会が行われました。
一見、普通の試合に見えますが、大きな違いがあるんです。
田原市出身、中京大学の道崎亮太投手、4年生。
彼が打ち込んでいるのが、準硬式野球。
大学トップクラスの実力を持つピッチャーです。
一番の違いはボール
一番の違いはボール
知る人ぞ知る、硬式と軟式の中間に位置する準硬式野球。
一番の違いはボールです。
プロなどで使用する硬式球は、中心のコルクに何重もの糸が巻き付けられ革で包まれているのに対し、小中学生が主に使う軟式球は、中が空洞でゴムに覆われています。
そして、準硬式ボール。外は軟式球と同じようにゴム製で中は硬式球とほぼ同じ作り。
硬式球に比べ、打球が飛びづらく、球速も出にくいと言われています。
兄の影響で小学3年生から野球を始める(本人提供)
高校時代は東邦の硬式野球部で、19年春の甲子園優勝メンバー
兄の影響で小学3年生から野球を始めた道崎投手。
高校時代は名門・東邦の硬式野球部に所属。
しかも2019年、春の甲子園優勝メンバーでした。
背番号「17」を付け、1イニングながら聖地でプレーした経験もあります。
「厳しい所がたくさんあったけど、うれしい部分も多かったので、良い高校3年間を過ごせたと思います」(中京大学 道崎亮太投手)
目標は高校の同級生であるドラゴンズ 石川昂弥選手(本人提供)
目標は同級生のドラゴンズ 石川昂弥選手
道崎投手には、常に追いかけ続ける存在がいます。
それが、高校の同級生、ドラゴンズの石川昂弥選手です。
「石川選手はプロでやっているので、自分も行きたいという部分もあって、目指す位置にいると思うので、自分の中では目標の選手」(道崎亮太投手)
東邦時代、公式戦で登板したのは甲子園で投げたわずか1試合。
高校の恩師から勧められたのが、準硬式野球という道でした。
「高校時代に活躍できなかった選手でも、準硬式で練習を積んで成長すれば、プロの舞台に立てるチャンスはある」(道崎亮太投手)
中京大学 中野将監督
中京大学最古の部活でも、練習は早朝の限られた時間のみ
朝6時前、まだ日が上がらないうちに集合するのが準硬式野球部の日課。
グラウンドは硬式野球部と共有のため練習ができるのは授業が始まるまでのわずかな時間なんです。
創部1954年。全国優勝9回を誇る、中京大学最古の部活も特別扱いはありません。
限られた中で集中して汗を流す道崎投手。
その姿勢に監督も舌を巻きます。
「彼はひたむきに努力を継続できる選手。話をしっかり聞ける、そして聞いたことを試すことができる。結果として結びつくか、つかないかは別として、アドバイスを謙虚に聞いて実践・継続できる選手だと思う」(中京大学 中野将監督)
中京大学 道崎亮太投手
プロ注目選手に成長
目標に向かって努力してきた成果は、球速にも表れます。
高校までは140km/hに満たなかったピッチャーが、硬式よりもスピードの出にくいボールでなんと最速147km/hを計測。
プロに注目されるまで成長を遂げました。
そんな彼に待っていたのは、大学最後にして最高の舞台。
「甲子園は自分の中でも思い出にあるので、もう1回行きたいという思いはあった。やっぱり特別」(道崎亮太投手)
東西対抗日本一決定戦の舞台は甲子園
東西対抗日本一決定戦の舞台は甲子園
全国から選ばれた選手、50人が集結する東西対抗日本一決定戦。
舞台となるのが甲子園です。
初開催となった2022年は、雨で試合ができず、11月14日ついに、史上初めて聖地で準硬式の試合が実現しました。
「学生最後の試合になるので、全部出し切っていい姿を見せたいと思います」(道崎亮太投手)
運営も、ボールパーソンも、そしてなんと、審判もすべて全国から選ばれた大学生なんです。
甲子園のマウンドに帰ってきた道崎亮太投手
約3年半ぶりに甲子園のマウンドに
準硬式野球の歴史を変える、甲子園での特別な1試合。
道崎投手は、所属する東日本選抜1点リードの7回に登板。
高校生以来、約3年半ぶりに甲子園のマウンドに帰ってきました。
先頭バッターをレフトフライに打ち取ると、この日投げたピッチャーで最も速い146km/hを計測。
「1km/hずつ球速が上がっていって、歓声が聞こえた時は自分も上がって」(道崎亮太投手)
さらに、高校時代には立てなかった2イニング目には、2者連続三振。
約3年半ぶりの聖地で2回無失点の好投を見せました。
「準硬式最後の試合となったので、楽しく投げることができました。高校時代は1試合しか投げられなくて、悔しい思いから始まったけど、最後にまた甲子園のマウンドに集まることができたので宝物になりました」(道崎亮太投手)
道崎亮太投手
新たなステージで挑戦は続く
準硬式野球の4年間を最高の思い出で締めくくった道崎投手。
目標とする同級生、石川昂弥選手のいるプロの世界へ。
新たなステージで挑戦は続きます。
「硬式野球の独立リーグに進むので、そこでプロを目指して、体を作ってやっていきたい。プロ野球選手という夢は変えずに頑張っていきたいと思います」(道崎亮太投手)
※道崎亮太投手の「崎」は、正しくは「たつざき」です
(11月23日 15:40~放送 メ~テレ『ドデスカ!+』じもスポ!コーナーより)