ボードゲームで楽しく学ぶ「防災」、子どもの好奇心を刺激しながら命を守る教育 愛知県豊田市の小学校

2024年2月22日 14:07

ボードゲームやタブレット画面を操作するゲーム。愛知県豊田市の小学校が子どもの好奇心を刺激する防災授業に取り組んでいます。

人気のカードバトルゲームとはちょっと違う!?

 机の上に並べられた、カード。

 人気のカードバトルゲームとはちょっと違います。

 「一次災害は何の災害だ?」(講師)
 「避難所行かせてもらいます」(5年生)
 
 教室に飛び交う防災用語。

 去年5月に豊田市の浄水小学校で行われていた防災の授業です。
 
 手元のカードに書かれているのは、「台風」「津波」。

 建物の耐震を強化する「補強カード」や避難所での感染症を想定した「ワクチンカード」もあります。

 「体力が2減ります。一次災害、感染症。ワクチンカード持っている人?」(講師)
 「車での避難は控えましょう。動きやすい服装で避難しましょう」(5年生)

 

防災ゲーム「LIFE」(販売価格3500円)

ボードゲーム愛好家が作成した防災ゲーム

 これは、「LIFE」という防災ゲームで、愛知県三河地域のボードゲーム愛好家「フダコマ広場」が作りました。

 1セット、3500円。オンラインショップで販売しています。

 看護師や公務員、レスキューなどに扮して、3人~6人で、遊びながら防災に必要な知識を学ぶことができます。

 「そもそも防災は地味なところがあって、防災をいろいろなところで広めていくということを考えた時に、フダコマ広場はボードゲームが大好きな人たちの集まりなので、一緒に組み合わせるという発想で『LIFE』が生まれました」(フダコマ広場 辻田盛登さん )

 

遊びながら防災に必要な知識を学ぶ豊田市立浄水小学校の5年生

勝ち負けを競うのではなく、協力して災害から生き残る

 ゲームといっても勝ち負けを競うのではなく、参加者全員が協力して災害から生き残ることが目的です。

 「ダメージを受けた時に『レスキュー』の人が助けてくれた時があって、その時に仲間と協力し合っているなと思いました」(5年生)

 「子どもに防災を学ばせると考えたとき、防災知識が浅い子もたくさんいる中で、子どもはボードゲームやカードゲームが大好きなので、学習のきっかけづくりとして採用して、きょうやりました」(豊田市立浄水小学校 二村文康 先生)

 全国200以上の自治体がこのゲームを導入しているといいます。

 浄水小学校の防災授業は、ボードゲームだけではありません。

 社会科見学で近所の施設に行ったり、防災キャンプを体験したりと、さまざまな角度から防災について理解を深めます。

 

体験したボードゲーム「LIFE」をイメージしてアプリを作成する子どもも

ゲーム要素を取り入れた防災アプリを子どもたち自身が作る

 去年12月、防災の授業があるということで、再び学校を訪ねました。

 「地震が起きて、アイテムが全部なくなった。なくなったアイテムを取り戻して災害に備える」(5年生)

 社会科見学などの体験をもとに、ゲーム要素を取り入れた防災アプリを子どもたち自身が作っていました。

 以前、体験したボードゲーム「LIFE」をイメージしたものも。

 「このアプリではLIFEを想像して、カードを引くと災害が起きて、みんなで協力しながらクリアしていくゲームを作りたい」(5年生)

 

アプリを記者が体験

子どもたちが作ったアプリを記者が体験

 子どもたちが作っているアプリの一つを記者が体験してみました。

 「社会科見学で浄水場に行ったんですけど、もしも水害があってライフラインが切れた時に電気があるかという問題。電気があれば使えるので」(5年生)
 「非常電源があるはず」(記者)
 「正解です。災害が起きた時に電気が使えるから便利かなと思ったのでクイズにしました」(5年生)

 こちらは、ちょっと操作が難しいアクションゲーム。

 川の堤防や坂道などの危険箇所を避けて避難場所を目指すというもので、ゲームといっても、ちゃんと防災の要素が入っています。

 「この地区は地震で揺れやすいとか、土砂災害が起きるとか、専門的なことを学んだあとにアプリを作っています。グーグルですぐに出てくる情報でアプリを作るのではなく、自分の足で見つけてきた学びとか、経験したことを元にアプリを作っています」(二村先生)

 

1年を通して、楽しみながら防災を学んだ子どもたち

1年を通して、楽しみながら防災を学んだ子どもたち

 2月14日、1年間の防災授業の集大成でもある「防災アプリ」が完成し、授業参観で保護者が体験しました。

 防災アプリを体験した保護者に感想を聞いてみました。

 「この地域の災害がもしあったときにどうしたらいいかとか、学校の防災倉庫に何が備蓄されているかとか、自分も知らなかったことを子どもがしっかり勉強していると分かり感心しました」(保護者)
 「お話だけより自分たちでゲームを作っていく方が覚えられるでしょうし、こういうやり方の方が、子どもたちにとってはいいのかなと思いました」(保護者)

 1年を通して、楽しみながら防災を学んだ子どもたち。

 「ボードゲームでここが危ないから、これを使えばいいというのが学べたり、それがボードゲームだったから楽しかったです」(5年生)
 「津波が来ると石川県でもあったように、町が崩れてしまうので、そうならないためには浄水の町を守り続けていきたいです。この1年間学んだことをいろんな人に伝えて、盛り土とかここが危ないよというのを伝えて、みんなも避難できるような環境づくりをしていきたいです」(5年生)

 (2月21日 15:40~放送 メ~テレ『ドデスカ!+』より)

 

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