高校で「オフィスメイク」 本音はキラキラさせたい 学校は「自分らしさ」を期待 愛知

2024年5月12日 11:36

愛知県の高校では、全国でも珍しい「ある取り組み」が10日から始まりました。

 名古屋市東区の愛知商業高校。

 制服を着ている生徒もいますが、青いシャツやグレーのセーターなどの私服を着ている生徒もチラホラいます。

 この学校では3年前から、毎週金曜日をオフィスカジュアルデー、いわゆる私服での登校を認めています。

 背景には、商業高校ならではの事情があるようです。

 「ビジネス視点を踏まえた活動を学校のウリにしている。例は少ないが、就職試験で私服で来てくださいという企業もある。その時に対応できるように、普段の学びに取り入れている」(愛知商業高校 川口宗泰校長)

 

私服登校の生徒のみ「オフィスメイク」が可能

毎週金曜はオフィスカジュアルデー

 そして、10日から始まったのは――

 私服で登校した生徒を対象に、「オフィスメイク」をしてきても良いという取り組みです。

 「オフィスメイク」とは、ボリュームが少ないまつげや赤すぎない口紅など、ビジネスシーンにあった清潔感のあるメイクのことを指します。

 毎週金曜のオフィスカジュアルデーをより有効に活用しようと、生徒会が主体となって実現しました。

 「私たちは商業高校なので、卒業後半数は就職します。社会においての準備期間だと思います。自分たちで行動し、考えて行動する機会を増やすという目的でも、オフィスメイクの活動を提案しました」(生徒会副会長 小崎ひかりさん・3年)

 生徒会は、10日のために専門学校の講師を招いたメイク教室を開いたり、全校生徒に「オフィスメイク」をプレゼンしたりしたということです。

 

愛知商業高校生徒会会計 高橋孝徳さん

生徒会の男子メンバーもオフィスメイクに挑戦

 10日は、生徒会メンバーもオフィスメイクをしての登校。

 生徒会会長の猿渡さんは、かわいらしい印象にするため頬にチークを入れたそうです。

 「いつもとは違って薄く、なるべく顔を明るく見せることだけを意識しました。濃く入れると強い印象が出ちゃうので、薄く柔らかくなるように入れました」(生徒会会長 猿渡心愛さん・3年)

 生徒会の男子メンバーも、オフィスメイクに挑戦!

 「日焼け止めを塗って、少しオフィスメイクに近づけるというかたちで、肌を白くするようにしてきました。自分の肌が色がいつもと違うのに違和感を感じてしまいました」(生徒会会計 高橋孝徳さん・1年)※高は正しくははしごだかです

 

オフィスメイク

本音は『キラキラさせたいのに』

 また教室に集まってくれた生徒に、オフィスメイクのポイントを聞くと。

 「チークを鼻にもいれて血色感をだしたのと、アイラインを自然にひいて、オフィスメイクっぽくしました。」

 「メイクのポイントは、簡単でかつ清楚感を出すことです。なのできょうはファンデーションとアイラインだけひきました」(オフィスメイクで登校した3年生)

 ただ、自由なメイクを楽しむ休日と比べてこんな本音も――

 「ちょっと物足りない感じがします。ラメとか入れたら可愛いけど、オフィスメイクだとダメなので。本音は『キラキラさせたいのに』って」(3年生)

 「普段はこれよりも濃いメイクが好きでやっているけど、『どうメイクを抑えたらいいかな』とか、『スッピンすぎてもよくないな』とか。きょうは1時間くらいかけてメイクしてきました。社会に出たときに、メイクで恥ずかしい思いをしたら良くないので、今のうちから失敗できる場があるのでいいと思う」(3年生)

 

制服で登校した生徒

いったん様子を見る生徒も

 オフィスカジュアルとオフィスメイクをした生徒に対し、10日に制服で登校した生徒は――

 「オフィスメイクが始まったばかりなので、いったん様子を見て、今後メイクやってみようかなって。結構みんなメイクをやっていてビックリしました。めっちゃみんな可愛いです。来週からやろうと思ってます」(制服で登校した2年生)

 「オフィスカジュアルでメイクしている子もたくさんいて、みんな可愛いし、私もやってみたいなと思いました。」(制服で登校した3年生)

 しかし、制服と私服のどちらがいいか聞くと「制服がいい」との回答もありました。

 「決まっているものがあるので、選ばなくていいのがラクだなと思います」(3年生)

 

愛知商業高校 川口宗泰校長

「”自分らしさ”を存分に発揮してもらいたい」

 生徒が主体となって決めた新しい学校のルールに、校長は”自分らしさ”を存分に発揮してもらいたいと話します。

 「これからの時代、自分軸で人から言われるのではなく、自ら動ける人にならないと、これからの社会ではやっていけない。これを機会にオフィスメイクをやることで、自分を主張して、自分らしさを出すことをどんどんやってくれたらいいかなと期待しています」(川口校長)

 

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