ニセ森永卓郎さんの”免許証”見せられ老後の貯えを失う 投資詐欺にあった男性が語る事件の経緯
2024年6月15日 14:05
東海3県では有名人をかたる投資詐欺の被害が急増。森永卓郎さんをかたる偽者に1200万円をだまし取られた三重県の男性を取材に応じました。
「だまされないぞという感じだったので。ニュースを目にしたときは、こいつらアホだなと思っていたが、いざ自分がやってみると悔しい」(被害にあった男性)
こう話すのは、津市に住む70歳の男性です。
男性は今年3月、投資詐欺の被害にあい、1200万円を失いました。
きっかけは、経済アナリストの森永卓郎さんが使われた偽の広告をYouTubeで見かけたことでした。
「森永卓郎さんが、私が持っている株の各銘柄の発展性があるか、もうけが出るか、早く売らないと価格が下がるか判断するということだったのでお願いした」
被害にあった男性
偽の運転免許証で、“本物”だと信じる
男性は広告の誘導に従い、森永卓郎さんをかたる偽者の「森永さん」とLINEで友達に。
「多少の詐欺の話は出ていたので、それではないかと思ったが、免許証の写真が送られてきたので、『信用してください』と。つい話に乗ってしまった」
本人の写真が使われた偽の運転免許証を見て、“本物”だと信じこんでしまったといいます。
アシスタントを名乗る女性からのメッセージ
老後の生活資金を指定口座に入金
その後、森永さんのアシスタントを名乗る女性からメッセージが――
「先生は今晩、金が30%以上の利益に達すると言っています。金の取引に使う資金が多ければ多いほど、得られる利益も大きくなります」(実際のメッセージ内容)
金への投資を勧められた男性。
老後の生活資金のために貯めた1200万円を複数回に分け、指定された口座に入金してしまったといいます。
偽モノの口座画面
悔しい気持ち
ところが、口座画面の残高が増えないことに違和感を覚え、息子に相談した時にはもう手遅れでした。
口座画面も偽モノでした。
「ガーンとして、頭の中真っ白。悔しい気持ちと、バカなことやったなという後悔」
三重県のSNS型投資詐欺の被害額(今年5月まで)
詐欺の特徴について
三重県では、去年1年のSNS型投資詐欺の被害額が、約11億5000万円に上っています。
今年は5月末までで約8億4000万円と急増していて、中には4200万円以上をだまし取られた人もいます。
手口の特徴について、ネット犯罪などに詳しいITジャーナリストの三上洋さんは、こう話します。
「SNSを見ていて広告をクリックして、サイトに登録できる人たち、ある程度のITリテラシーと資金がある人たちを狙っている。著名人の顔を使い『著名人がアドバイスします』という形で誘導する詐欺」(ITジャーナリスト 三上洋さん)
経済アナリスト 森永康平さん
被害者から直接問い合わせも…
実際に名前をかたられた、経済アナリストで森永卓郎さんの息子・康平さんのもとには被害者から、直接問い合わせがあるといいます。
「本当に信じて問い合わせてくる人もいる。そういう人は怒り心頭」(経済アナリスト 森永康平さん)
被害者は康平さんが把握しているだけでも50人以上いて、なかには被害額が1億円を超える人もいるということです。
「本当に困ったのが、SNSなどを見ると『森永康平に、だまされてお金をとられている』とSNSに書いてしまう人がいる。なにも知らずに投稿を見た人が、そんなことするのと思ってしまう。これはかなり仕事にも影響が出る」(森永さん)
ITジャーナリスト 三上洋さん
私たちができる対策は?
ITジャーナリストの三上さんは、私たちができる対策について、こう話します。
「基本的にこういう投資顧問が、LINEのグループ上でやり取りすることはありえない。LINEのグループに誘導された時点で詐欺だと考え、すぐにブロックして抜けてほしい」(三上さん)