新紙幣1000円札の顔になる“北里柴三郎” 正しい苗字の呼び方を徹底調査 ひ孫は「どちらでもいい」
2024年6月28日 11:35
新紙幣の発行が迫る中、1000円札の顔となる“近代日本医学の父”の苗字を巡り、ある問題が起きているといいます。
7月3日に発行される、新しい紙幣。
20年ぶりに、デザインが変わります。
新しい紙幣の“顔”に選ばれたのが、この3人。
まず1万札は、“近代日本経済の父”、渋沢栄一。
5000円札は、女性の地位向上や教育に尽力した、津田梅子。

メ~テレの「ウルフィアプリ」で行ったアンケート結果
北里柴三郎、フルネームどう読む?
そして、1000円札には――
破傷風を予防・治療する方法を発見し世界を驚かせた、北里柴三郎。
“近代日本医学の父”とも呼ばれていますが、フルネームだと、どう読んでいるのか。
街の人に話を聞きましたが、皆さん「きたさと」と「きたざと」に分かれ、読み方にあまり自信が無いようです。
メ~テレの「ウルフィアプリ」で同様のアンケートを行ったところ、3割が「きたさと」、6割が「きたざと」という結果になりました。

北里研究所 森孝之さん
柴三郎ゆかりの施設は…
「きたさと」、「きたざと」、いったい、どちらで読むのが正解なのでしょうか。
「国立印刷局」のホームページには、「きたさと」と書いてあります。
では、柴三郎ゆかりの施設はというと――
生まれ故郷の熊本県小国町の施設は、「北里(ざと)柴三郎記念館」としています。
その一方で、「北里(さと)研究所」。
読み方を「さ」としている、ワケを聞きました。
「北里柴三郎がドイツ留学するにあたり、ローマ字表記をする。ドイツの人たちは、『ZA』を『ざ』と発音してくれない」(北里研究所 森孝之さん)

ドイツ語表記で「SA」は「ザ」と読む
留学先のドイツで「きたざと」と呼んでもらうために…
本人は元々、「きたざと」と名乗っていましたが、留学先のドイツで「きたざと」と呼んでもらうためには、「ZA」ではなく、ドイツ語表記で「ザ」と読む「SA」の表記にする必要がありました。
この表記だと、英語圏では濁らずに「キタサト」と発音します。
「北里自身も、名前は『きたざと』。『ざ』と濁ると言うことが、めんどくさくなったんでしょうね。学術世界で生きていく上において、英語圏が主流になってくる。北里研究所・北里大学が、北里が創立開校したので、ローマ字表記をしたときは『SA』を用いている」(森さん)
北里柴三郎の“ひ孫” 北里柴三郎記念館 北里英郎館長
地元は「きたざと」が当たり前
また、熊本の「北里(ざと)柴三郎記念館」にも話を聞きしました。
「北里(ざと)村というのがあり、そこで柴三郎は生まれたので。こちらでは全部『きたざと』で統一している。地元は『きたざと』が当たり前。『きたざと』以外ありえない」(北里柴三郎記念館 北里英郎館長)
そんな館長の正体は――
「ひ孫にあたる」(北里館長)
なんと、北里柴三郎のひ孫。
お名前は、北里かと思いきや――
「東京から2年前にこっちに来て、東京では『S』です」(北里館長)
名刺には、「KITASATO」と記されていました。
名古屋市の教科書は「きたさと・しばさぶろう」と表記
呼び方は「どちらでもいい」
「どちらでもいい、簡単に言うと。私も九州で講演をする時は、『きたざと』と言っている。そういう風に区別して、発音してもらって構わない。対象となる人物は同じなので、論争する必要もないと個人的に思っている」(北里館長)
なんだか、ひ孫の代まで、ややこしくなっていましたが、要するにグローバルな読み方が「きたさと」。
地元では「きたざと」が一般的で正解というものはなく、どちらも間違いではないようです。
なお、名古屋市教育委員会によると、公立中学校の社会科の教科書は「きたさと・しばさぶろう」と書かれているということです。
北里研究所本館・医学館(愛知・犬山市)
東海地方にもゆかりが…
いよいよ、来週(7月3日)に迫った新しい紙幣の発行。
東海地方にもゆかりが――
それが、愛知県犬山市にある博物館・明治村。
この建物は東京から移築されたもので、柴三郎は、ここで細菌学を学びました。
明治偉人隊 “津田梅子”さん
5000円札の津田梅子に会える?
そして「帝国ホテル」の設立に関わったのが、1万円札の渋沢栄一です。
ちなみに、5000円札の津田梅子には、会うことができる!?
それが、明治偉人隊 “津田梅子”さんです。
Q.新紙幣発行の機会をどう捉えているか
「お札が変わるということは、生活が徐々に変わっていく。早く皆さまのお手元に、私の顔が届いてほしい」(明治偉人隊 “津田梅子”さん)
新しい紙幣は7月3日に発行です。