愛知初の公立中高一貫校に熱い視線 明和の説明会に申し込み1300人、入試の対策は?
2024年8月21日 19:43
来年度、愛知県は県立高校4校に中学校を併設し、いわゆる「中高一貫教育」を導入します。公立志向が強い愛知で実施される、教育改革。狭き門に、受験熱が高まっています。
愛知県では高校の選択肢が多様化している
18日、名古屋のホールを埋め尽くした小学6年生と、その保護者。
開催されたのは、来年度に中高一貫になる、明和高校の説明会です。
「この中高一貫校の理念は『チェンジ・メーカーを育てる』です。自分らしさの探求と創造、チャレンジができる学びの実現。誰もが社会の変革者となれる、学びの推進を行う教育です」(明和高校の担当者)
午前と午後の2回開催された説明会には、約1300人から申し込みがありました。
来年度は4つの高校に中学校が併設される
明和・刈谷・半田・津島の4高校に中学校併設
Q.なぜ明和に入りたい
「中高一貫校だから」(説明会に参加した小学6年生)
Q.どうして中高一貫校に入りたい
「高校受験をしなくてすむから」(小学6年生)
「新しく新設されるところと、我々の世代だと明和高校はブランドが高くて、いい学校というイメージがあって。付属中学ということで、いいなと思っています」(説明会に参加した保護者)
大きな注目を集めている、愛知の中高一貫校。
来年度、明和と刈谷・半田・津島の4つの高校に中学校が併設され、6年間継続して学ぶことができます。
2021年度以降、愛知の県立高校で「欠員」が2600人を超える
「公立志向」の愛知が改革に踏み切ったわけ
愛知県教育委員会によると、中高一貫校の導入は全都道府県の中で42番目。
長年、高校入試では「公立志向」が強かった愛知が、改革に踏み切ったわけは――。
「県立高校の欠員が増加していて、2021年度には欠員が2600人を超える状況が衝撃的。県立高校を取り巻く状況が、曲がり角に来たかなと」(愛知県教育委員会 中高一貫教育室 小野智之 室長補佐)
人気だったはずの県立高校には2016年度以降、定員に満たない「欠員」が増え始め、2021年度は2600人を超えました。
少子化に加え、私立高校で授業料補助などの制度が充実したことや、通信制高校のサポートが充実するなど、選択肢が多様化したことが背景にあるとみられています。
愛知県教育委員会中高一貫教育室の小野智之室長補佐
「進学実績だけを追求することはない」
全国的には「後発」となる、愛知の中高一貫校。
進学実績だけを、追求することはないといいます。
「中高一貫校を導入する一番大きな狙いは、『チェンジ・メーカー』をキーワードにしているが、これからの社会は変化が激しい。答えがないような課題に、積極的にチャレンジし、いろんな人と協力して粘り強く取り組んでいく。社会を変えていける人が、愛知県から出てくるといいなと」(小野室長補佐)
説明会に参加した小学6年生と保護者
“倍率10倍” 狭き門に
伝統校で始まる新たなチャレンジに、高まる期待。
Q.公立中高一貫校に入りたい理由は
「自分の将来の夢に対し、普通の中学校より夢に一歩近づけそう」(小学6年生)
Q.夢とは
「工学系とか、技術系」(小学6年生)
「理科が好きなので、重きをおいて、探求して学習できるのはいいところ」(小学6年生)
入学試験は、1次がマークシート方式の適性検査で、2次が面接。
中高一貫の4校とも、定員が80人の狭き門です。
「学校説明会の申し込み状況からみて、“倍率10倍”といわれているが、それなりの高さになっていくと思う」(小野室長補佐)
中高一貫校を目指す塾の夏期講習
中高一貫校を目指す小学生が増加
こうした中――。
「問い合わせは確実に増えた」(あかつき塾 久暁子塾長)
Q.公立の中高一貫校に興味ある
「あります。私立の中学校を目指している子も『興味がある』と言っています」(小学5年生)
受験勉強の天王山となる、夏休み。
名古屋市緑区の「あかつき塾」では、夏季講習で1人1人に合わせた教材を使い、中高一貫校の受験対策をしています。
「夏までに6年生の2学期までの内容を、しっかり押さえれば良い。出題のベースが教科書にあるので、教科書をやりこむことを徹底する。そのためには国語の力が大事。よく読めるように、小さいころからするのが一番大事」(久塾長)
愛知県が公表したサンプル問題
入試の出題傾向は
愛知県がホームページで公開している、入試問題のサンプル。
新城市の特産品「八名丸さといも」をテーマに、各教科を組み合わせたような問題に、選択式で回答していきます。
「論理的に考える力とか、自分の考えを表現する力。情報を読み取り、分析していくような力などが、読み取れるのかなと思う」(小野室長補佐)
愛知県教育委員会の中高一貫教育室
面接は1人15分
適性検査の後、実施される面接試験は1人あたり15分間で予定されています。
「志願理由書を出してもらい、記載されているものをもとに、子どもの経験を尋ねて、今までどんなことを経験し、その時にどんなことを考えたり感じたり、工夫してきたのかなと丁寧に見ていきたい」(小野室長補佐)