まるで“ホテルビュッフェ”気分 弁当を自分好みにカスタマイズ「わたべん」で目指す地域貢献

2024年9月28日 06:01

紅葉狩りや運動会など、これから始まる秋の行楽シーズンに外で食べる機会が多くなる「お弁当」。名古屋市熱田区にある「わたしのおべんと。」では、自分好みにカスタマイズできる珍しいお弁当が販売され人気を集めています。

わたしのおべんと。 高崎尚子さん(41)

 名古屋市熱田区にある「わたしのおべんと。」。

 地元の新鮮素材と手作りにこだわった、色とりどりのお弁当が並んでいて、若い女性から年配の方まで、幅広い世代に人気のあるお弁当屋さんです。

 名古屋市中川区出身のマネージャーである高崎尚子さんやスタッフを含む4人で、朝6時から仕込み作業を開始、オープン時間の午前11時~午後6時までお弁当を販売しています。

 

自分で好きな総菜を選べる「わたべんBOX(6個入り)」1800円

「わたべん」とは?

 お店には「のり弁当」や「生姜焼き弁当」など、よく見る定番商品が並んでいますが、このお店オリジナルの商品があります。

 それは「わたべんBOX」です。

 「わたべん」とは、20種類以上ある総菜から、自分が食べたい総菜を組み合わせる、カスタマイズ弁当のこと。

 「具材の決まっているお弁当だと、好き嫌いがあったりする。ホテルのビュッフェのように、自分で好きな具材を選べるお弁当は今まで見たことないなと思って。自分の好きなものだけを全部詰めて、“私だけのお弁当を作ってほしい”と考えました」(わたしのおべんと。高崎尚子さん)

 

「わたべん」で選べる総菜は20種類以上

“私だけのお弁当を作ってほしい”という思い

 高崎さんの、“私だけのお弁当を作ってほしい”という思いから誕生した「わたべん」。

 総菜を入れるボックスは、4個入り(1200円)と6個入り(1800円)から選ぶことができ、コロッケやから揚げ、ハンバーグといった子どもが喜ぶメニューから、栄養たっぷりの筑前煮やサバの味噌煮、土手煮といった和総菜まで、幅広いジャンルの総菜から好きなものを選ぶことができます。

 「わたべんの総菜を考える際に、ホテルのビュッフェを食べ歩いていて。食べ歩いたビュッフェのメニューを総菜に反映しているものもあるが、煮物などは、家庭で作るのがすごく面倒な料理なので。家で作りたくない、手の込んだものを商品化しました」

 手の込んだ料理をお弁当の総菜として提供することで、家庭の助けになるようにと考えられた「わたべん」の総菜メニューですが、総菜の入ったボックスごとレンジで温めることもできるので、家庭で手間なく食べられる工夫もされています。

 

右:わたしののり弁(990円) 左:贅沢なのり弁(1190円)

今おすすめのお弁当は?

 また「わたべん」の他にも、ここでは豊富なお弁当のラインナップも魅力的です。

 今おすすめのお弁当は何か、高崎さんに聞いてみると――

 「のり弁です。愛知県産の海苔を使っている。のり弁は同じ味だと飽きてしまうので、どこを食べても味が変わっておいしいというのを作りたくて、こだわって作りました」

 のり弁には鮭とチキンの2種類から選べる「わたしののり弁(990円)」と、どちらも入った「贅沢なのり弁(1190円)」が販売されていて、取材日は「いい鰆が入ったので、“贅沢なのり弁”は鮭ではなく西京漬けにした」とのこと。

 仕入れた内容によって、お弁当の具材が変わるのも来店時の楽しみの一つです。

 

鳥の照り焼き弁当(790円)

お客様思いの考え

 また「鳥の照り焼き弁当(790円)」や「豚の生姜焼き弁当(790円)」も女性人気が高く、店頭に並べるとすぐに売り切れてしまうそうですが、売り切れたお弁当は、売り切れた順に都度作成しているんだそう。

 そこには、「お客様が来店したときに、商品が売り切れだったという状況を作りたくない」というお客様思いの考えがありました。

 

“ビュッフェスタイル”で選ぶ総菜

美容業界から飲食業界へ

 元々、美容業界で働いていたという高崎さん。

 異種業種だった飲食業界に転職した理由の一つに、「お客様に楽しんでほしい」という思いがあったそうで――

 「転職前は美容系の仕事をしていたので、食へのこだわりが強かった。食の勉強をしたりファスティングの免許も持ったりしていて。面白い商品の考案や、珍しいものを見たり食べたりしていた経験を活かして、お客様に食を楽しんでほしいと思い転職しました」

 そんな高崎さんの「お客様に楽しんでほしい」という思いは、「わたべん」だけではなく「日替わり弁当」にも反映されています。

 「日替わり弁当は、毎日メニューを変えています。お客様が『西京焼きが好きなんだよね』と言われると『作ってみますね』と。『煮物が食べたい』と言われたら、煮物弁当を作ってみるとか。お客様と会話した内容がキーワードになって、日替わり弁当になる。お客様と一緒に作り上げています」

 

厚焼き玉子には焼き印も

地域密着型のお弁当屋さんを目指す

 食材もこだわりのひとつで、店舗近くの肉屋や八百屋で仕入れた食材を使用しています。

 地元食材を使用することで「地域に貢献できるお弁当屋さんになりたい」という高崎さんの思いがあり、出店先は都会ではなく熱田区を選びました。

 「熱田区は他の地区に比べ高齢者が多く住んでいるので、リピーターも高齢者が多い。そのため地域のお客様と触れ合う機会も多く、“地域密着型”のお弁当屋さんになりたくて、熱田区に出店しました」

 高崎さんが、“地域密着型のお弁当屋さん”を目指そうと思ったのには、運営会社である株式会社イワゲンの「お客様の笑顔をみたい。喜ぶ顔をみたい」という思いも反映されているんだそうです。

 

「わたべん」以外にも豊富な種類のお弁当が並ぶ

来店客にも変化が…

 そして最近は、来店客にも変化があるようで――

 「家の夜ご飯を用意する男性の来店がすごく多い。お客様で『家族のご飯をここで買えば料理をサボれるから』とか『自分のおつまみや晩酌に』とお弁当を買っていく。あと最近は、お弁当のパッケージが可愛いので、手土産の代わりに買ってもらったりとか」

 “曲げわっぱ”を使用した可愛らしい見た目のお弁当は、女性向けに作成したものだそうですが、具材をたくさん詰めてボリューミーにしているため、男性でも満足感の高いお弁当になっているそうです。

 

外観

今後挑戦していきたいことは?

 地域密着型のお弁当屋さんを目指す高崎さんが、今後挑戦していきたいことは「配達事業」。

 「配達を始めたいです。お店によく来店しているお客様であれば、1日来ないだけで『風邪だったの?』と次回来てくれた時に会話ができる。でもそれができないお客様の場合は、配達であれば『あれ、配達に来たのに何も反応がないな』とお客様の異変に気付けたりする。そんな優しい配達サービスをやっていきたい」

 さらに、お客様のニーズに合わせたお弁当作りにも挑戦していきたいといいます。

 「企業などで、例えば『予算1000円で、野菜多めの弁当がいい』と依頼されたときに、届けられるような配達弁当を作っていきたい。うちのお弁当なら、栄養をたっぷり取って楽ができるとお客様に思ってもらいたいです」

 夏の暑い時期にはヤンニョムチキンなどをおかずに取り入れた「韓国フェア」を企画したことも。次回は、日本の各県のご当地グルメを使ったフェアを検討中だということです。

 秋の行楽シーズン。色とりどりのお弁当と共に楽しみたいものです。

(メ~テレ 飯田莉穂)

 

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