【こどもを守る】”おしゃれ”に命を守る 自転車ヘルメット着用率アップへメーカーの動き
2024年10月8日 17:22
愛知県では、小中学生はヘルメットが普及し始めているものの、まだまだ浸透しているとは言えない状況が続いています。着用率アップへ向けた取り組みを取材しました。
ファッション性を高めたヘルメット
これはドライブレコーダーの映像です。車が横断歩道に差し掛かった瞬間、対向車の陰から出てきた自転車と衝突。
女性と後ろに乗っていた子どもは車のボンネットに激しく頭を打ち付けられてしまいました。
また、こちらは脇道を走っている車が大通りに出ようとしたところ、手前の歩道を走ってきた自転車とぶつかってしまいました。
この自転車に乗っていた人はヘルメットをかぶっていませんでしたが、幸い命に別状はなかったということです。
次男が交通事故にあった 関村理絵さん
ヘルメットで助かった命
「これは息子が事故当時にかぶっていたヘルメット。かぶっていなかったら頭がスイカみたいに割れていたのかな」(関村理絵さん)
三重県桑名市の関村理絵さんが見せてくれたのは、頭頂部から割れてバラバラになってしまったヘルメット。
9年前、当時小学3年生だった次男の亮汰さんが自転車で交通事故に遭った際にかぶっていたものだといいます。
「こちらで息子が事故にあって身動きせず倒れていた感じ」(関村さん)
理絵さんからおつかいを頼まれた亮汰さんは自転車に乗り、近所の病院の駐車場から道路に出た瞬間、軽乗用車にはねられました。
事故の衝撃で、数メートルはね飛ばされたということですが、軽いけがで済み2週間ほどで退院することができました。
「ヘルメットがなかったらどうなっていたんだろう。生きていたのか死んでいたのか。元気に今も高校に行けていたのか」(関村さん)
ヘルメットで助かった命。亮汰さんが着用するようになったきっかけは、年に1度、学校で行われていた警察の交通安全指導でした。
「交通安全指導を年に1回ぐらいしてもらっていた。子どもも『ヘルメットを買ってよ』って。どこへ行くのにも着用して自転車に乗って出かけていた。ヘルメットさまさま」(関村さん)
自転車事故死傷者のヘルメット着用率(2023年)
命を守るヘルメット 着用率は…
愛知県警の調べで、愛知県内で去年までの過去5年間に自転車事故で亡くなった117人のうち、約7割にあたる80人が頭部に致命傷を負っています。
また、ヘルメットを着用していなかった人の致死率は、着用していた人に比べて1.7倍も高かったということです。
自転車のヘルメット着用をめぐっては、去年4月の道路交通法改正で、これまで13歳未満の子どもに限定していた努力義務が「すべての利用者」に対象が拡大されています。
これを受けて愛知県警は7月、15日間にわたってヘルメット着用の一斉調査を実施しました。
その結果、愛知県の着用率は全国平均17%を下回る10.5%で、47都道府県の中では34番目に低い数字でした。
また、こちらは去年1年間に発生した自転車に乗っていて事故にあった死傷者のへルメット着用率を世代別に表したグラフです。
小・中学生はいずれも50%を超え、普及が進む一方で高校生になると10%台前半となり、さらにその上の世代になると、ほとんどの人が着用していないことが浮き彫りとなりました。
サギサカ商品開発課・石堂健一さん
メーカーも模索
着用率アップに向けて、ヘルメットの製造メーカーも模索しています。
「通常のヘルメットが格好悪い、嫌だという声が多いので、そこを帽子型にしていこうと」(サギサカ商品開発課・石堂健一さん)
愛知県豊田市で自転車用品を製造する「サギサカ」。新商品として販売を始めたのが、帽子のようなおしゃれなヘルメットです。この商品、最大の特徴が…
「ベースのヘルメットとして販売し、着せ替えという形で服装に合わせてチョイスできるようにすることで、かぶりたくないと思わせないようにしたい」(石堂さん)
ヘルメットの安全性を守りつつ、ファッション性を高めたといいます。
現在は女性向けの15種類を販売していて、今後は高校生の意見なども取り入れながら、若い人や男性向けの商品の開発も進めているということです。
こちらでは子どもたちにヘルメットの重要性を理解してもらおうと、小学校で交通安全教室を開催していますが、「高校生以上の大人たちが率先してヘルメットを着用し、子どもたちのお手本になってほしい」と話します。
「ヘルメットの重要性を小さい子どもたちからわかってもらう。お母さんたちにもそういった部分を理解してもらえたらなと。いつ自分に降りかかるかわからないので、いざというときに備えてかぶってほしい」(石堂さん)