STATION Aiがグランドオープン 名古屋で老舗企業も巻き込み、ビジネスの化学反応を目指す

2024年11月1日 19:58

”ものづくり王国”に新拠点。10月31日、名古屋市にオープンした「STATION Ai」。新たな挑戦をしようとする企業を、全面バックアップします。

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 10月31日、名古屋市の鶴舞公園南側にグランドオープンしたSTATION Ai。

 これまでにないアイデアや最先端の技術で成長をめざす、比較的新しい企業「スタートアップ」を支援する日本最大規模の拠点です。

 愛知県が総工費約156億円をかけて整備した、地上7階・延べ面積2万3000平方メートルの建物内に、約500社のスタートアップ企業が参加します。

 「この『STATION Ai』をまさに日本・アジアのハブとして、どんどん世界に向かってうって出ていきたい」(愛知県 大村秀章知事)

 一体どんな新技術が集まっているのでしょうか。

 

プロドローン 戸谷俊介社長

偶然の出会いをビジネスにつなげる

 こちらのドローンメーカー。ドローンを使って離島へ医療物資を運ぶ実証実験などを行っています。近年力を入れているのがーー

 「防災用のドローン。特徴は夜間に使う投光器があること。下にカメラがついていて、光学カメラと赤外線カメラが両方ついている」(プロドローン 戸谷俊介社長)

 9月。地震からの復興半ばの能登半島を襲った豪雨では、このドローンが現地を飛び、被害状況の確認などを行いました。
 
 「災害時に役立つ、上空を飛んでどこの道が今土砂崩れで埋まっているのか、最初に見るのがドローン」(戸谷社長)

 STATION Ai内に設けられた新オフィスでは、4人が働きます。それぞれのフロアはスロープでつながり区切りが少なく、ほかの入居企業との新たな交流が期待できるといいます。

 「エンジニアの人などと偶然出会ってアドバイスをもらうなどして、ビジネスにつながればいいと思う。わざわざ会社に電話をするというのはハードルが高いが、ここでふらっと出会えると聞きやすいかなと思う」(プロドローン経営企画部長 石田悠莉さん)

 

プロドローンの新オフィス

名古屋に拠点を持つことで、技術の成長に期待

 この企業が契約しているスペースは1カ月あたり、1人につき7万円近くかかりますがーー

 「スタートアップには非常に重い金額だが、それでもここに席や部屋を持つという重要性を感じて決断した。外に開いた扉のような『STATION Ai』は外の人たちとどんどん知り合う、ものすごく大きな破壊的イノベーションが起きるのではないかと大変期待している」(戸谷社長)

 愛知県の豊橋技術科学大学発のベンチャー企業は、家畜の糞尿や生ごみを使ったバイオマス発電の事業を行っています。

 拠点は豊橋ですが、交通の便がいい名古屋にも拠点を持つことでより多くの情報を得ていきたいとしています。

 「いろんな人と協力しながら協業していくということで、自分たちの付加価値も上がるし、地域の社会貢献にもつながる」(豊橋バイオマスソリューションズ 熱田洋一社長)

 

大豆ミート ファーマーズバーガー 880円 (ファーマーズバーガー バイ スギモト)

老舗企業も巻き込み、ビジネスの化学反応を

 新たなビジネスの創出を目指す、こうしたスタートアップ企業のほかにSTATION Aiに参加しているのは、約200社の”老舗企業”です。

 「パートナー企業」としてスタートアップと協業し、新たな技術革新が起きることを狙います。

 一宮市が本店の繊維専門商社「モリリン」。360年以上の歴史を持つ“老舗”です。パートナー企業として参加した狙いはーー

 「スタートアップ企業といろいろ話してみたが、僕らと考えが違った角度で物を見られるので、新しいことができるんじゃないかと期待している」(モリリン 山田敏博取締役)

 名古屋・中区で120年以上前に創業した精肉店「スギモト」の新業態店舗です。

 おすすめは、植物性100%のパティを使用した大豆ミートのハンバーガー。パートナー企業として入居する「肉のスギモト」が植物肉という新たな領域にチャレンジです。

「昨今、食肉という産業が供給が少なくなる中で、今後どう対応していくか代替として大豆に焦点を当てて大豆ミートを開発した」(ファーマーズバーガー バイ スギモト 藤坂圭介店長)
 
 実際に食べた人からは「わからない、大豆かどうか。おいいしい」という声が。

 STATION Aiでの意見ももとに商品をブラッシュアップしていきたいといいます。

 ”モノづくり王国”愛知にこうした拠点が作られた狙い。それは老舗企業も新規参入企業も巻き込んだ、ビジネスの化学反応です。

 「この地域でスタートアップを盛り上げていくと、既存の産業との融合を図った時にものすごく大きな効果がある。最新のテクノロジーやプロダクト(製品)に地域の人に触れてほしい」(STATION Ai 佐橋宏隆社長)

 

ルーフトップテラスやホテルなどが一般利用可能

一般利用できる施設も

 スタートアップを支援する拠点のSTATION Aiですが、入居する飲食店は一般の人も利用することができます。

 大豆ミートのハンバーガーの他にも、カフェ、インドカレー、ベトナム料理、なごやめしの店など、様々な料理を楽しむことができます。4日(月)から通常利用ができるということです。

 また館内には知的障害のあるアーティストが所属する会社「ヘラルボニー」の作品、約150点が彩りを添えます。

 さらに最上階の7階には鶴舞公園が見渡せるルーフトップテラスが設置されています。

 そしてホテルもあり、全25室、研修合宿などに利用できる部屋も設けられています。

 

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