トップ交代で「18歳成人式やめます」 三重県伊賀市 振袖レンタルの予約はどうなる?

2024年11月29日 17:22

成人年齢の引き下げに伴い、三重県伊賀市が始めた「18歳成人式」。12年ぶりに誕生した新たな市長は18歳成人式を取りやめ、「20歳(はたち)の集い」に改めることを明らかにしました。

「市民の皆さんのこれまでの市政に対する厳しい評価を、とりわけ職員の皆さんとともに厳粛に受け止める必要があると考えています」

 29日から開会した伊賀市の12月定例議会。冒頭でこう語ったのは、11月の市長選挙で初当選した稲森稔尚市長(41)です。

「来年5月に開催予定の18歳成人式は行わないこととし、令和8年度から20歳の集いを行うことといたします」(稲森市長)
 
 12年ぶりの新たな市長がまず取り組むのが、選挙戦でも訴えてきた「18歳成人式の見直し」です。
 
 来年5月の「18歳成人式」の対象者については、再来年度に開く「20歳の集い」に参加を呼びかけると明らかにしました。

 去年から始まった18歳成人式は、受験の時期を避けるためとして5月の大型連休に行われています。市長戦で4選を目指して敗れた前職の在任中、伊賀市では「法律上の成人としての自覚を持つ機会にする」という理由から20歳での成人式をやめ、18歳での実施を決めました。
 
 しかし、地元の団体が約8000人分の反対署名を提出したほか、同じ団体が出した反対の請願を議会が賛成多数で可決するなど、多くの反対意見がありました。

「これまでの市政が、市民の皆さんからの反対や懸念を示す声を大切にせず、その結果、特に最も大切な当事者である若い世代の皆さんの理解が得られない状況を作り出してしまったことを大変申し訳なく思っています」(稲森市長)
 
 「市民の声を大切に」がポリシーの稲森市長。すでに成人式に向けた準備を進めていた市民にも配慮して、移行に向けた対応を進めていくということです。

 

三重県伊賀市の稲森稔尚・新市長

振袖のキャンセル料どうなる?

 全国でも珍しい「18歳成人式」について市民は…。

「20歳で成人式をして久しぶりに会えるのがうれしかったり、なかなかみんなで集まれる機会がないし 20歳でよかったなと思う」(20代)

 18歳成人式の見直し署名を集めた団体メンバーの竹島尚子さんは…。

「子どもたちの中で『20歳』という何か違いがどこかにあると思う。成人式をするなら『20歳がいい』と周りも言っている」
 
 来年5月の18歳成人式の参加者から着物のレンタル予約が入っているという、お隣の名張市の呉服店は…。

「想定されるのは、そのまま20歳の集いが来るまで契約をそのまま継続しておくパターンか、お客さんからキャンセルの申し出があったら応じるというパターンのどちらかかなと」(中尾呉服店 中尾優耶さん)
 
 キャンセル料は契約時の規約に沿った対応となるといいますが、伊賀市の動きが正式に分かり次第、話し合いながら対応を進めていくということです。

「(18歳成人式は)時間的なものだったり、受験費用などと重なるので、それが大変という声を聞きます。一生に1回のことですよね、成人式というのは。華やかな晴れやかな姿で素敵な思い出にしてほしいなと思います」(中尾さん)
 
 来年5月の18歳成人式を取りやめ、対象者が20歳を迎える再来年度からは「20歳の集い」を開くと表明した稲森市長。「集い」は他の多くの市町と同様に1月に開く方針です。
 
 市長の考えに議会は…。

「当時の(反対の)声が大きかったというのは、議会としてもしっかり受け止めながら、(20歳の集いに)戻すとしても、いろんな混乱があるのは事実あるので、しっかりそれを実行するにあたって、もう1回説明は丁寧にしてほしいというのが本音です」(伊賀市議会 赤堀久実議長)

 

忍者で有名な伊賀市

高齢化や人口減少も大きな課題

 稲森市長は就任直後の記者会見では、18歳成人式の出席予定者の着物のキャンセル代などを市が補償することも検討していると述べています。
 
 関連予算については、早ければ新年度の当初予算案を審議する来年3月の議会で議論される見込みです。
 
 6市町村の広域合併で誕生してから20年。新市長には、高齢化や人口減少が進む約8万5千人が暮らす街の4年間のかじ取りが託されます。
 
 稲森市長は保育所民営化の見直しのほか、進学などで地元を離れた若者のUターンや移住者を呼び込むIターンなどにも力を入れていきたいということです。

 

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