オンラインカジノ体験者が語る危険性 借金800万円、職場の金を着服「やめたくてもやめられない」

2025年2月20日 17:25

最近、芸能人が利用していたことでも関心を集めている、いわゆる「オンラインカジノ」。スマートフォンを使って現金や暗号資産などを賭けるという手軽さから、実際にのめり込んでしまった男性が語る“危険性”とは。

オンラインカジノで800万円の借金を抱えているという35歳の男性

Q.ギャンブルの借金は?
「家族には500万~600万円。友人には野球賭博の支払いができていないので、約250万円とかですね」(オンラインカジノの元利用者)

 愛知県に住む35歳の男性。去年5月までオンラインカジノを利用していたといいます。

 最初にギャンブルにのめり込んだ18歳から、計約800万円の借金を抱えているといいます。

 男性は27歳からの5年間、ギャンブル依存症からの回復施設に入所。

 ところが退所した後に待ち構えていたのが、オンラインカジノとの「接点」でした。

「仕事ばかりの生活で、唯一の楽しみが帰宅してYouTubeで動画を見ること。格闘技選手がやっているのが好きで見ていたら、『賭けられる』という広告がYouTubeにあって。(動画も)格闘技のチャンネルではなくて、ギャンブル要素も半分含む展開になっていて、どんどん自分の興味がギャンブルの方の欲求が出て止まらなくなった」(オンラインカジノの元利用者)

 

スマホで手軽に始められてしまうオンラインカジノ

職場の売上金に…

 そして就職したガソリンスタンドで、男性がとった禁断の行動は――。

「仕事終わりに50万~100万円ぐらいの売上金を、銀行に納めに行くのを半分使ってしまう。『明日また入れよう』みたいな感じで手をつけ始めて、どうにもならなくなった」(オンラインカジノの元利用者)

 欲求のおもむくまま、店の売上金に手を付けてしまった男性。

 結局、家族が肩代わりしたことで事件化はされませんでした。

 男性はスマホで手軽に利用できるオンラインカジノの危険性を、改めて強調します。

「携帯アプリですぐ入れちゃう。オンラインカジノのサイトで『国で許可を得ています』とあって、危険という認識がなく誰でも手軽にできてしまうというのが、とても危険だと思います」(オンラインカジノの元利用者)

 

オンラインカジノで摘発された客は増加傾向に

オンラインカジノは違法、摘発者は増加傾向

 警察庁もSNSなどで『違法である』と周知している、オンラインカジノ。

 しかし愛知県警によりますと、オンラインカジノで賭博をした疑いで摘発した人数はおととしが12人、去年が22人と増加傾向にあり、のめり込む人が後を絶ちません。

 愛知県も、支援者らが情報交換を行う会議を設けるなど、ギャンブルに依存する人への対策に乗り出しています。

 

オンラインカジノにのめり込んだ息子に苦しんだ女性

家族が気づきにくいオンラインカジノ

 一方で、オンラインカジノは家族が熱中していても、気づきにくい側面があるといいます。

「まさかうちの子がという思いがありました。本当に部屋に入ったら何をやってるかって、もう大学生になったら(息子の)部屋にも入らないし、こっちもあんまり追及しないので、全然わからなかった」(息子がオンラインカジノを利用していた女性)

 息子が大学生の時にオンラインカジノを利用していたという女性は、当時の苦悩を振り返ります。

「『やめたくてもやめられない、ギャンブルって』と本人も言っていて、家にいると壁にげんこつで穴を開けた。物を壊して鬱憤を晴らしていたのか、親のお金を引き出すためにそういう状況を作ってやっていたのか…」

 

息子は借金と返済を繰り返し、約500万円を親が肩代わりすることに

「迷わず家族会や自助グループに相談して」

 息子は消費者金融などから借金と返済を繰り返し、最終的には約500万円を親が肩代わりしました。

 息子はいま、就職を目指して回復施設で過ごしているといいます。

「なかなかコミュニケーションもだんだん取りづらくなるというか、うそついてるなとか、(お金の)優先順位がおかしくなっているなと思ったら、疑うじゃないですけどあれっ?と思ったら、迷わず家族会や自助グループに来て相談していただきたい」(息子がオンラインカジノを利用していた女性)

 

「全国ギャンブル依存症家族の会 愛知」の松本知美代表

「誰もがのめり込む危険がある」オンラインカジノ

 ギャンブル依存の家族を抱える人を支援する団体は、オンラインカジノは誰もがのめり込んでしまう恐れがあると警鐘を鳴らします。

「適度に自分の給料の範囲で遊べていた人も多い。でも何かきっかけがあったり、競馬からオンラインカジノになった途端のめり込んでしまって。そういうことがあると元に戻れない、進行していく。ライト層(初心者)の方は、のめり込む危険性があるということを認識してほしい」(全国ギャンブル依存症家族の会 愛知 松本知美 代表)

 

支援団体は「気軽に相談してほしい」と呼びかけている

支援団体「ギャンブル依存症は簡単に回復できない」

 さらに、相談会を定期的に開催している「ギャンブル依存症問題を考える会」も、支援団体に気軽に相談してほしいと、当事者に寄り添います。

「ギャンブル依存症は、簡単に回復できる病気じゃない。まずは家族会においで。こういう活動に加わってくると、自分がどう動くべきか、どっちに決断するかが分かってくるから」(ギャンブル依存症問題を考える会 田中紀子 代表)

 ギャンブルの問題で困った際は「ギャンブル依存症問題を考える会」の相談専用電話「070-4501‐9625」に連絡してください。

 当事者だけでなく、家族や友人も相談することができます。

 

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