名古屋から豊橋まで無料・信号なし 「名豊道路」が8日午後に全線開通 経済効果にも高い期待
2025年3月7日 19:21
名古屋から豊橋まで、無料で信号なしで行くことができる「名豊道路」が8日、全面開通します。経済的な効果や、災害時に果たす役割も期待されています。
「道路ができています。作業員の姿も見えます。最後の点検でしょうか。蒲郡から豊川までの区間が開通することで、名豊道路は待ちに待った全線での開通です」(木岡真理奈アナウンサー)
名豊道路は、名古屋と愛知県豊橋市を結ぶ、国道23号のバイパスです。
これまで開通していなかった「蒲郡バイパス区間」が8日午後3時につながります。
大きな特徴は、無料で信号がないこと。
これまで約1時間50分かかっていた名古屋と豊橋の間が、約1時間で移動できるようになります。
道路を利用する人たちからは、期待の声が――。
「いやぁ待っていました。信号なしでいけるので、距離も短くなるし時間も短縮になる」(配送業)
開通後にさっそく利用する予定だという人も。
「お母さんは隣で乗っているだけだけど、お父さんは運転しないといけないから大変」(ドライブ中の夫婦)

半世紀かけて全線開通する「名豊道路」
半世紀かけての全面開通
名豊道路が着工したのは1972年。
半世紀をかけての全面開通に、経済的な効果が期待されます。
花の産出額が62年連続で日本一と、農業が盛んな愛知県。
その中でも、名豊道路の沿線が県内の花の産出額の約8割を占めています。野菜も約7割です。
全線開通で、三河地方などでとれた新鮮な農産物をより早く市場に届けることが可能に。
ほかにも、完成した自動車の輸送時間が短縮されるなど、自動車産業の成長につながると見込まれています。

「救急搬送時間の短縮が見込まれる」と話す豊川市消防署の竹内宏実さん
救急搬送にもメリット
「名豊道路の開通によって、けがや病気の人を病院に搬送する救急搬送にもメリットがありそうです」(木岡アナ)
「名豊道路開通に伴って、蒲郡市内への救急搬送時間が短縮されることが見込めると考えています。おおむね5分~10分程度短縮できると思います」(豊川市消防署 消防司令補 竹内宏実さん)
東三河地区の豊川、豊橋、蒲郡、新城など8つの市町村は、救急医療の協力体制を組んでいて、状況に応じて市をまたいで救急搬送が行われます。
去年、豊川市では、豊橋市の病院への搬送が350件、蒲郡市へは39件ありました。
「信号があると一旦停止し、安全確認をしてから通行する。信号がない分、素早く到着できる。1秒でも早く病院に到着することで、救える命があると思うので、迅速な救急搬送につなげていきたい」(竹内さん)
名豊道路は災害時にも大きな役割が期待される
災害時にも大きな役割
「命を救う道路」としての効果は、災害時にも――。
「東日本大震災で東北地方の太平洋側沿岸部が非常に甚大な被害を受けたが、その時に内陸部の東北自動車道だと思うが、そこから沿岸部へ行く道路を啓開していった。今回開通する区間は、沿岸部に一番近い区間の開通になるので、沿岸部が被害を受けた時に迅速に、対応できるような区間が開通することになる」(中部地方整備局 名古屋国道事務所 佐溝健治さん)
2011年の東日本大震災では、「東北自動車道」と「国道4号」が内陸部を南北に走っていたことで、沿岸部へ続く県道などを早期に確保できたといいます。
「名豊国道」も内陸部を走るため、災害時に大きな役割を果たすと期待されています。
「最初に地震が起こると、災害の救援救護をしないといけない。その時には拠点となる所もできるので、拠点をむすぶルートを啓開していくことになる。近い将来、この地区で発生が予想されている南海トラフ地震があるので、それに対して迅速な対応ができるように、計画を立てている」(佐溝さん)