大垣日大を引っ張る左右のエース 至学館の超緻密プレー支える1年生捕手 センバツ18日開幕【じもスポ】
2025年3月13日 17:24
18日から始まる春の甲子園、センバツ高校野球。東海3県から、岐阜の大垣日大高校と、愛知の至学館高校が出場します。チームの鍵を握る選手たちの裏には、刺激を受ける必要不可欠な存在がいました。

2年ぶり6度目のセンバツ出場の大垣日大
2年ぶり6度目のセンバツ出場。秋の東海大会を制した、岐阜の大垣日大。
注目は、エースの座を争う2人のピッチャーです。
「最後のセンバツになるので、背番号1を背負って投げたい」
2年生の中野翔真投手。
1年の春から、名門校のメンバー入りをする期待の右腕です。
去年の夏は、右ひじのケガでベンチに入れなかったものの、秋の東海大会で完全復活。
決勝では9回148球の熱投を見せ、チームを14年ぶりの東海王者に導きました。

秋の東海大会で1年生ながらエースナンバーを背負った谷之口翔琉投手
左右のエースが切磋琢磨
そんな中野投手と切磋琢磨しているのが――。
「マウンドで投げるなら背番号1をつけたいので、翔真さんに負けないように」
サウスポーの1年生、谷之口翔琉投手です。
秋の東海大会では、1年生ながらエースナンバーを託され活躍。センバツ出場に大きく貢献しました。
「小さい頃から甲子園でやりたいという気持ちがあって、その舞台でできるので楽しんでやりたい」(谷之口投手)

秋の東海大会で完全復活した中野翔真投手
夢舞台への思いは同じ
大垣日大、左右のWエース。
夢舞台へ、同じ思いを口にしました。
「目標は優勝。一戦一戦、目の前の相手を倒すことに集中して戦い抜きたい」(中野投手)
「目標は優勝。一戦一戦、勝っていけるように頑張りたい」(谷之口投手)
8年ぶり2度目のセンバツ出場の至学館高校
接戦を勝ち上がった至学館
今から8年前に撮影された、1枚の写真。
高校球児に囲まれた1人の少年が、運命の扉を開きました。
8年ぶり2度目の春の甲子園出場、至学館高校。
秋に激戦区愛知を制した、伝統の野球スタイルが――。
「攻めの野球で、初回からミスを怖がらずに、(走塁では)思い切ってスタートすることだったり、バントでも相手の嫌なところをつく野球です」(至学館 船橋幸多 主将)
プロ注目のエリートはいないものの、小技と機動力を駆使し、サインプレーで強豪校をも翻弄。
秋の公式戦11試合すべて先制点を挙げ、接戦を勝ち上がり、東海大会ベスト4入りを果たしました。
1年生で正捕手の井口睦丈選手
超緻密野球のキーマンは1年生捕手
攻守ともに、超緻密な至学館野球を熟知する1年生がいます。
レギュラーキャッチャーの井口睦丈選手。
「サインプレーというか指示が多いので、至学館のキャッチャーは大変だけど、やりがいがある」(井口選手)
「入部してきた瞬間に、すべてのサインプレーができている状態。のみ込みが今までの選手の中でも一番早い」(鈴木健介 監督)
秘訣は、愛知県豊田市の自宅に隠されていました。
井口選手は4人兄弟の末っ子。
全員が野球経験者の兄に囲まれて暮らしています。
「兄弟みんなで愛しているって感じ。1人だけ歳が離れて小さいので」(兄・敦太さん)
兄のプレーを応援する井口選手(当時小学2年生)
9歳上の兄も至学館OB
9歳離れた長男・敦太さん(25)は、至学館の野球部OB。
しかも8年前、センバツに初出場したときのキャッチャーなんです。
「ぶっちゃけ信じられないというか、すごい巡り合わせというか、同じ高校に進んでくれて、1年からレギュラーで(甲子園に)出ることは、めちゃくちゃうれしい」(敦太さん)
幼い頃、兄の試合を見に行くことが必然だった井口選手。
野球を始めたきっかけは、小学2年生だったあの出来事でした。
「もともと(野球は)やりたくなかったけど、やっぱ甲子園です。(兄が)甲子園に行った影響で、無性に野球がやりたくなった」(井口選手)
熱気と迫力に強烈なインパクトを受けた甲子園で、自分もプレーしたい!
兄の背中を追い続ける野球少年は、甲子園常連校からの誘いもあった高校の進路も、思いが揺らぐことはありませんでした。
至学館の選手だった兄たちと写真におさまる小学生時代の井口選手
甲子園で敗れた兄が弟に託す思い
センバツをたぐり寄せた東海大会では――。
兄を手本とする、落ち着いたプレーで盗塁を阻止。
気づけば、同じ夢舞台にたどり着いていました。
至学館にとって、そして井口家にとっても8年ぶりの甲子園。
兄・敦太さんには弟に託したい思いがあります。
「僕のミスで負けちゃっているので、次は弟がヒーローになって勝ってくれたら」(敦太さん)
野球経験者の兄たちと話す井口選手(左から2人目)
甲子園で「兄の借りを返す」
8年前…4万5000人が詰めかける中、呉(広島)との試合は延長12回に突入。
至学館は、1アウト2塁3塁のピンチを背負います。
敦太さんの3塁への送球がそれ、これが決勝点。
初勝利を挙げることができませんでした。
「盛り上がり方と悲鳴と…さすがにあんな経験はなかったので、頭が真っ白になった」(敦太さん)
普段は冷静な兄でさえ平常心でいられないほど、魔物が潜む甲子園。
このミスこそが、まもなく足を踏み入れる弟への何よりのアドバイスになっています。
「どう落ち着くかがカギになるので、そこを意識して、(兄の)借りを返しに甲子園に行きたい」(井口選手)
校歌「夢追人」を歌う至学館の選手たち
校歌「夢追人」を甲子園で響かせたい
兄の雪辱を晴らした先にある、もう1つの悲願。
それが校歌「夢追人」を、仲間たちと歌う事。
「兄の影響で夢追人が好きだったので、至学館初の1勝をして、あの甲子園で夢追人を響かせたい」(井口選手)
野球を始めたきっかけとなった聖地で――。
至学館の新たな歴史を刻みます。
(2025年3月13日15:40~放送 メ~テレ『ドデスカ+』じもスポ!コーナーより)