【SDGs】温暖化で“白化現象”進むなか…高水温に強いサンゴが大量産卵

2024年09月29日 18:57
 テレビ朝日は「未来をここからプロジェクト」の一環でSDGs企画をお伝えしています。  今回のテーマは「海の豊かさを守ろう」です。世界のサンゴ礁の4分の3が温暖化による白化現象の影響を受けています。番組では、高い水温に強いサンゴの産卵と受精の貴重な映像を入手。養殖を進める取り組みを取材しました。 ■温暖化で“白化現象”進む  まるで桜吹雪です。いくつものサンゴの卵が海を舞います。新しい命の芽生え。今年、撮影に成功した貴重なサンゴ産卵の瞬間です。撮影を指揮した金城さんはただならぬ使命感を持っていました。 海の種 金城浩二代表(54) 「自然には人間関わることでどうにかできることを僕は革新的に思いました」  海の生き物のおよそ30%がすみかにしているといわれるサンゴ礁。今、深刻な問題に直面しています。  沖縄本島北部の本部町。地元の水中カメラマンが撮影した映像です。白くなったサンゴが一面に広がっているのが分かります。サンゴの白化です。  本来、サンゴの色は茶褐色などです。白化の原因は海水温の上昇です。サンゴの色のもとは褐虫藻という植物プランクトンです。サンゴと共生し栄養を供給しています。この褐虫藻が海水温が上昇するとサンゴから逃げ出し、サンゴが透けて白く見える現象が起こるのです。  白化現象が起きたサンゴは2、3週間で死んでしまうといわれています。サンゴの生息に適した水温は25℃から28℃ほど。しかし、猛暑の今年、沖縄を含む南西諸島では8月の平均海面水温は30℃を上回りました。 海の種 金城浩二代表 「ひどい所(海域)では最高水温34℃を記録した」  こうした事態は日本だけではありません。世界のサンゴ礁の75%が高水温による白化の恐れがあるといいます。 ■高水温に強いサンゴ 大量産卵  この状況に立ち向かったのが金城さんの研究チームです。高い水温でも生きることができるサンゴを養殖し、海に戻す活動を26年にわたって続けています。 海の種 金城浩二代表 「施設自体が小さな海のような環境を作って、植え付ける前に施設内で強めの紫外線が当たる環境で育てたり、ストレスに耐性を持ったサンゴを海に植えていくと適応していくものが出てくる」  養殖の次はサンゴを増やす研究を進めます。すると、海で起きている新たな問題に直面しました。 海の種 金城浩二代表 「今、世界中でサンゴが減少しすぎていて、サンゴがまばらになっています。まばらなサンゴたちが産卵しても、サンゴ同士が距離を離れていては受精しない」  海水温の上昇などで自然のサンゴが激減。まばらに生息しているため、距離が遠すぎて受精する確率が低いといいます。そこで金城さんは、養殖したサンゴを密集させて移植しました。  さらに、実はサンゴは同じ親を持つ個体同士では受精しづらく、増加がほとんど見込めません。そのため、親が違うサンゴを過密に並べて受精する確率を高めました。その結果、今では90%以上の受精率を達成しています。 海の種 金城浩二代表 「『手つかずの自然』的な多様性の考え方はもう当てはまらないぐらい、自然に影響が出てしまっている。今年は本当にとんでもない白化だった。(高温の)耐性サンゴもすべてが生き残れたわけではない。植えたものの約25%ぐらい。この環境に適応しうるサンゴ礁自体もできる限り種類が多様になる努力をしていくつもり」

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