病院で診察を受ける際に欠かせない健康保険証ですが、12月2日に新規発行が終わります。政府が目指すマイナ保険証への完全移行は可能なのか。医療の現場を取材しました。（11月23日OA「サタデーステーション」） ■都内のクリニックでの利用率は… 報告・青木梨央ディレクター 「こちらのクリニックでは、2年ほど前から『マイナ保険証』での受付を行っています」 サタデーステーションは、クリニックの許可を得て2台の定点カメラを設置。患者さんのプライバシーに配慮しながら取材を行いました。 報告・水野正路ディレクター 「『マイナ保険証』をリーダーにかざしています」 機械音声 「内容を確認し、ボタンを押してください」 診察券の提出もなく、受付は簡単に終わりました。 60代男性 「一回入手したら便利ですよね。（今までの）健康保険証より絶対良いと思います」 患者は「マイナ保険証」をリーダーにかざし、暗証番号の入力または顔認証で受付は終了です。しかし、中にはこんなケースも… 機械音声 「マイナンバーカードを保険証として利用するための登録が必要です」 20代女性 「変えるタイミングがなかったからですかね。変えなきゃいけないなら変えます」 マイナカードを持っていても「マイナ保険証」への登録をしなければ使えません。登録は、スマホのアプリ「マイナポータル」などで行えます。 このクリニックでは、午後2時から午後5時半までの3時間半の間に「マイナ保険証」を利用したのは23人中4人だけでした。利用率は、全国でも15％ほどにとどまっています。（10月末時点15.67％） ■来月2日に現行の保険証は「廃止」 みいクリニック　宮田俊男理事長 「マイナ保険証に切り替わっていくということを知らないという方もまだまだたくさんいらっしゃいます」 来月2日に従来の保険証の新規発行は停止。今の保険証でも最長1年は使えますが、政府は「マイナ保険証」への移行を呼び掛けています。 しかし、利用者からはこんな声も… 30代女性　主婦 「手続きがめんどくさいなあという感じです。余計な手続きしたくないなと」 30代女性 主婦 「（従来の保険証が）特に問題なく使えているので、あえてマイナンバーカードに移行していないというだけなんですけど」 移行への課題は他にもあります。ある調査では全国の7割の医療機関から不具合の報告がありました。最も多かったのは、旧字体と新字体など漢字の違いによるエラーで、カードリーダーの接続不良や認証エラーなど機械自体の問題も目立っています。 しかし、患者にとってメリットも大きいといいます。 みいクリニック　宮田俊男理事長 「これまでの通院歴とかお薬の履歴とか、健診の結果とかも把握できますので、ご自身の医療の質を上げていくのにはとてもいいと思う」 従来の保険証に比べ、不正利用のケースも減るといいます。 みいクリニック　宮田俊男理事長 「紙の保険証ですと、学生の友達同士でちょっと持っていないから借りるとか。マイナ保険証の場合ですと、適切な保険証の使い方にもつながってくるとは思います」