“雪かき代行”やレッカー車がフル稼働 帰省ラッシュに「年末寒波」が追い打ち

2024年12月29日 12:14
最大9連休というお正月休みが始まった28日、多くの交通機関で大混雑となりました。そんな混雑に拍車をかけそうなのが「年末寒波」です。各地で交通トラブルが相次ぐなど、影響が広がっています。(12月28日OA「サタデーステーション」) ■最大9連休 帰省ピークに年末寒波 帰省ラッシュのピークに寒波のピークが重なり、9連休の初日は大雪に見舞われた地域が多くありました。 報告・水野正路ディレクター 「午後7時前です。長野県の野沢温泉では大粒の雪が降り続いていて、停まっている車にもかなり積っています」 報告・高橋和ディレクター 「午後6時すぎです。新潟県湯沢町では断続的に雪が降り続いています。積み上げられた雪で看板の半分以上が見えなくなってしまっています」 東京から新潟に帰省した人 「きょうご飯に行こうと思ったけど、国道が止まる可能性があるかなと思って行くのをやめました。電車(在来線)もいま止まってるみたいなので。本当はスキーも行きたいんですけど…」 報告・朝倉有香ディレクター 「午後7時「バスタ新宿」です。バスで帰省する方の列ができています」 東京・渋谷区にあるバスターミナル「バスタ新宿」では、29日から30日にかけてが混雑のピークとみられていますが、すでに28日の便もほぼ満席の状態だといいます。 旅行から長野に帰る人 「雪がとっても降ってるらしいので、ちょっと心配」 報告・仁科健吾アナウンサー 「ものすごい人ですね、全然前に進めません。肩をすぼめないとまっすぐ歩けません。行き交う人がお店を見ながらなので、時折ぶつかってしまいそうです」 年末年始は日並びの良さもあり、5年ぶりの最大9連休に。東京・上野の「アメ横商店街」では、正月休み用の食材を買い求める人たちで賑わっていました。 買い物客 「大トロと中トロ、奮発しましたけど良い買い物ができました」 「全体的に他のところは(値段が)上がってますけど、こういうところでこれだけの量を買えるなら全然お得です」 報告・仁科健吾アナウンサー 「羽田空港第二ターミナルです。連休初日ということもありまして、かなり多くの方でにぎわっていまして、まっすぐ歩けないくらい混雑しています」 連休初日、各交通機関では帰省ラッシュのピークを迎えていました。 福岡に帰省する親子 「12時半の便なんですけど、ちょっと早めに来ました。混んでいたら大変かなと。大変ですけど、今しかいけない。(子どもを)見せられない 見せに行きたいので」 北海道に帰省する親子 「妻の仕事的に年末30日とかまで仕事があることが多いので、娘と2人で北海道の実家に帰って、というパターンが多かったんですけど、今年は長く(休みが)とれたので、久しぶりにみんなで帰れるので楽しみです」 空の便の国内線下りのピークは、日本航空が28日で、全日空が31日ですが、羽田空港から各地へ向かう便が、ほぼ満席になりました。一方、東海道・山陽新幹線の下りは28日が混雑のピークに。午前の指定席はほぼ満席となりました。しかし… 報告・井戸垣隆寛 記者 「JR岡山駅の新幹線乗り口です。遅延の影響で改札口周辺も大変混雑しています」 28日朝に岡山県内の沿線で火災が発生。この影響で山陽新幹線は、新大阪駅と広島駅の間の上下線で一時運転を見合わせる事態となり、最大1時間ほどの遅れが出ました。 熊本に帰省する人 「祖父母に会いに行きます。接続している新幹線に乗れるかどうか、ちょっと不安です」 報告・若林奈織ディレクター 「JR富山駅の前にある自転車置き場ですが、一晩で20センチほど積っています」 27日から強い冬型の気圧配置となり、本州付近の上空には強い寒気が流れ込みました。その結果、北日本や東日本の山沿いは大雪となり、今シーズン最大の積雪となりました。さらに、九州や四国でも雪が降り、西日本の各地で積雪となっています。大雪はこのあとも続き、29日夕方までに多い所で、北陸で60センチ、関東甲信の山沿いなどで40センチの雪が降ると予想されています。雪や風が強まることで、交通機関に影響が出る可能性もあり、最新の交通情報と気象情報に注意が必要です。 ■立ち往生を防げ 国道を24時間監視“裏側”を取材 報告・高橋和ディレクター 「午後3時すぎです。4年前、大規模な立ち往生が発生した、湯沢インター付近です。あたり一面、真っ白です」 4年前に発生した、新潟県の関越自動車道での大雪による大規模な立ち往生。一時、およそ2100台の車が身動きが取れない状態となり、全線で通行止めが解除されるまで3日以上を要しました。 帰省ラッシュにこうした立往生のような事態を防ぐため、目を光らせている人たちがいました。 国土交通省 富山国道維持出張所長 長谷川孝志所長 「帰省等で雪道の運転に不慣れな方がいらっしゃると思いますので、普段よりも若干頻度を上げるなとして除雪作業に当たっていきます」 こちらの国土交通省の除雪ステーションでは、気象会社からの雪の予測などをもとに、管理する道路をパトロール。 宮口建設 現場代理人 中井将雄さん 「急に雪が降ってきたので心配になったので(パトロールに)出ました」 車が増える時間帯を前に、除雪作業や融雪剤の散布が続けられていました。富山県内の国道や交差点などを244台のカメラで24時間監視しているのは、こちらの富山河川国道事務所です。 職員 「ハンドル操作を誤ったのか雪山に突っ込んでいますね」 映像を目視したり、画像処理で道路に停止する車両を検知するなどして、すばやく道路の異変を察知します。インタビュー中にもアラートがなり響きました。パソコン画面には「停止を検知しました」の文字が。モニターを見てみると、雪でスリップしたのか、国道の両脇に複数の車両が止まっていました。 国交省 富山河川国道事務所 橋本嘉雄さん 「坂道の区間になりますので、過去には立ち往生したりする車両も発生しております」 特に警戒しているのは、大規模な渋滞に繋がりかねない事案です。しばらくすると…。 国交省 富山河川国道事務所 橋本嘉雄さん 「自然片側通行状態ですね」 事故車両をよけて走行しなければならず、列が発生。事故を受け、道路上の電光掲示板に表示するための文章を作成したり、SNSにも事故を知らせる呼び掛けを投稿するなどの対応をとりました。 国交省 富山河川国道事務所 橋本嘉雄さん 「職員も年末年始の休みに入っている者もおりますので、連絡体制を確保した上で遅れがないように対応してまいります」 ■1回5万円「雪かき代行」に年末年始の依頼殺到 そして、この年の瀬に依頼が殺到していたのが「雪かきの代行」です。 雪かき代行業「信己」 鹿田航己社長 「今年はもう年内埋まるぐらいの問い合わせと予約をいただいていて…」 「便利屋」として働いている鹿田さん。雪道の中を1時間半走ってたどり着いたのは、新潟県津南町です。積雪は2メートルを超え、今シーズン最大。平年の3倍近い高さとなっています。 雪かき代行業「信己」 鹿田航己社長 「電線にも(雪が)かかっているんで、気を付けながら作業していきます」 鹿田さんたちが実際に屋根に登ってみると、想定外の状況が広がっていました。 雪かき代行業「信己」 鹿田航己社長 「(雪が)胸まできましたね。思ったより雪深いっすね…」 屋根に積もった1メートル以上の雪を、ひたすら降ろす作業。すると、その最中に同業者から連絡が入りました。 雪かき代行業「信己」 鹿田航己社長 「同業者さんの応援依頼で、みんなやっぱパンクしているみたいで。でも僕も(1月)6日まで埋まっちゃっているので『ちょっと手伝えないです』と」 1年前は暖冬だったため、雪かきの依頼は2~3件でした。しかし、今シーズンはすでにおよそ20件。年末年始の予約は埋まっているといいます。前日までは2時間で終わると見込んでいた雪かき作業ですが、作業中にも雪がどんどん降り積もり大苦戦。結局、3時間半かかりました。料金は約5万円です。しかし、この津南町を含む中越の山沿いでは、29日夕方までに最大で60センチの降雪が予想されており、再び屋根に雪が積もってしまうことになりそうです。その後、鹿田さんたちが向かったのは、こちらも今シーズン最大の積雪となった長野県の野沢温泉。今度は旅館の雪かきです。従業員の中にはポーランド出身の女性もいました。彼女の母国は北海道よりも北に位置する雪国ですが、「雪かき作業は日本でやる方が危険」だと言います。 ポーランド出身の旅館の従業員 「私は雪かきに慣れていますけど、ポーランドの雪かきと日本の雪かき、野沢温泉の雪かきを比べたら違う。こっちの方がとても雪が多い。危ないですね」 雪かき代行業「信己」 鹿田航己社長 「人数は正直足りていないが、安全面を配慮して、しっかりトラブルのないようにやっていきたい」 ■相次ぐ救援要請 レッカー車もフル稼働 レッカー会社も連休初日から長野県内でフル稼働していました。 報告・矢谷一樹ディレクター 「車が路肩に落ちていますね」 救援要請があった車は道路沿いの少し低い位置にある畑に落下。ななめに傾いた状態のまま、雪に埋まっていました。運転していたのは、今年長野県に引っ越してきたばかりの男性です。 運転していた男性 「道路だと思って端っこ寄ったら道路じゃなかった。境目が分からなかったという感じですね」 ドライブレコーダーには、対向車線を走る除雪車を避けようと左側にハンドルを切った直後、車体が傾き、雪の中に突っ込む様子が記録されていました。レッカー作業はまず、落下した車とレッカー車をワイヤーで連結。その後、前輪にはベルトを取り付け、クレーンで少しずつ慎重に引っ張りあげます。 野田レッカー 野田恭徳さん 「けっこう難易度高めですよ。ひっくり返っちゃいそう。角度がきついので…。レッカー持っていかれそうだこれ…」 作業開始からおよそ30分。落下した車は無事、道路に戻りました。その後向かったのは… 野田レッカー 野田恭徳さん 「観光バスが道の真ん中で停まってますね」 今度は東京に向かう予定だった観光バスが、タイヤにチェーンを巻いているにもかかわらずスタック。ワイヤーをつなぎ引っ張ることで事無きを得ました。結局、このレッカー会社は28日だけで20件の事故に対応。 野田レッカー 野田恭徳さん 「(雪に)慣れちゃうとスピードも出てくるし注意喚起も怠っちゃうし、慣れないのが一番いいと思います」

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