日本代表GK 楢﨑正剛。
嫌いなものは、失点。そして、カメラ。
本人は「大袈裟が嫌いなだけ」と笑うが、周囲は大袈裟にもなる。
今回の日本代表選出で、楢﨑は4大会連続のワールドカップ出場。その偉業にもそっけない。
「たまたま運が良かっただけ」。
そもそもが、楢﨑は饒舌ではない。ゲーム後の勝利インタビューでも、「勝ってよかったです」そんなひと言で終わってしまうこともある。けれども、楢﨑は言葉を持たない選手ではない。内にある想いに誠実だからこそ、口が重くなる。
「正確に伝わってほしいし、同じ言葉でも、受け取り方がこう、違う方にとられるんじゃないかと思うと、こういう言葉じゃなくって、みたいになっちゃうんっすよね。」
(だからいつもしゃべれない?)
「そうです」
アピールは必要ないと思っている。淡々と仕事をこなすように見える楢﨑だが、ゴールマウスを守るプライドと自負は、強烈なものがある。
「取れないシュートはないと思っている。それはむかーしから練習中でも変わんないですけど。でも、実際取れないから、それを取れるようになるには、どうすんねんって話で」
リーグ戦デビューは19歳のルーキーイヤー(1995.8.16)。それから15年間、楢﨑はシュートを止め続け、去年7月、前人未到のリーグ戦100完封を達成した。まさに、守護神。
周囲からは、
「弱点がない」「たとえ練習中のPKでも、弱点を探そうと思っているんだけれど、結局いつも止められて。弱点がないね」(ケネディ)
「長いこと、楢﨑を知っているが、彼はGKとしての資質を備えている」「技術。自信。経験。それが楢﨑だ」(ストイコビッチ監督)
高い評価、穴の無い安定感。楢﨑自身は、自らのプレーのどこを強みと考えているのか?
答えは、
「1対1」
ゴール前の1対1は絶対絶命のピンチの場面。そんな厳しい局面を、楢﨑は楽しいと話す。
「かけひき好きっすよね。やられるのもいっぱいあるけどね。結構そういう心理戦で勝ったりして、楽しいっすよ」
2009年開幕戦。その楢﨑の凄さが出た。
大分(当時)・金崎にサイドを突破され、1対1。金崎のループシュートを、間一髪で止めて見せた。
実はこの場面、金崎自身はシュートを狙っていたわけではなかった。足がすべりボールは金崎の意に反してループシュートに。相手の動きにつられることなく、ボールに集中していた楢﨑は、そのボールの動きにのみ反応した。最後まで、動かない、楢﨑の勝利だった。
その楢﨑にGKに必要な要素は何か、円グラフであらわして欲しいとお願いしてみた。
悩みに悩んで描きあがったのが、こちら
「何か、何これ?全然違うなあ(爆笑)ほんまかなあこれ、嘘っぽい。」
「瞬発力がないなあ、でもまあ身体能力があるかって、一緒やな、おい!細かくしすぎた」
本人も突っ込みどころが満載。
結局、大切なことは何なのか?
「・・・バランス。結局、バランス」
何だかなあの、楢﨑。
最後は、このひと言
「これ証拠残らないように、捨てていいですか?」
これが、楢﨑。