放送内容

2010年06月05日(土)放送

中日ドラゴンズ 浅尾拓也 「セットアッパー」

カテゴリー:野球

5月21日、西武ドーム。
ドラゴンズ2点リードの7回裏、ピンチで浅尾がマウンドに上がった。
バッターは西武の4番、中村。
見事にダブルプレーに打ち取り得点を許さなかった。
そして9回は守護神岩瀬がリードを守りきり、
この勝利で落合監督は通算500勝を達成。
いまやドラゴンズの勝ちパターンに浅尾は無くてはならない存在となっている。
「やりがいはすごくあると思います」


プロ4年目を迎えた浅尾拓也。
今シーズン『セットアッパー』として急成長を遂げている。


浅尾は去年、チーム最多の67試合に登板。
7月にはリーグ新記録となる11ホールドを記録し
月間MVPに輝くなど結果を残した。
「やっぱりいい場面で投げている人が羨ましかったし、
いつかそうなりたいと思ってずっとやってきたので・・・」
歩みだした『セットアッパー』への道。
今シーズンは6月4日現在、チーム試合数の半分を超える30試合に登板し
防御率は驚異の0点台。セットアッパーと呼ぶのにふさわしい活躍をみせている。
そこで好調の理由を聞いてみた。ところが・・・


「何ですかね。去年とそんなに変わっているとも思えないですし
本当に分からないです。」


かえってきたのは意外な答え。
ただ結果を残すために浅尾が取り組んでいることは明確だった。


まずはキャッチボール。
「キャッチボールで指にかかる意識だとか、そういうのは確認しています」
何気なくしてしまうこの練習を目的意識を持って行っているという。
浅尾にキャッチボールの重要性を伝えたのは近藤投手コーチだ。
平坦なところでは正しいフォームで投げないと良いボールは投げられない。
だからキャッチボールでボールの質を確認することで
崩れたフォームを修正する効果があるという。


さらに浅尾が試合前の練習で必ずといっていいほどすることがある。
外野の一角で行うマウンドより近い距離でのピッチング練習。
「マウンドより近いぐらいの距離で、大体その辺に投げられたら
離れても大丈夫だろうなという感じで、常に不安な気持ちはあるので、
少しでも不安な気持ちを取り除くためにやっています。」
去年から始めたという自信を持ってマウンドに上がるための確認作業である。


そんな浅尾がマウンドに上がるとき大事にしていることがある。
「注意した結果打たれることもあるんですけど、ただ悔いの無い投球を
したいと思っています。迷って投げたボールが打たれたとか、
そういうのだけはやめようと思っています。」


4月25日の阪神戦。
バッター桜井の3球目。浅尾はベテラン谷繁のサインに首を振った。
「谷繁さんから意図があって首を振るんだったら、振っていいと
言われた事があるので、迷って投げて打たれて後悔したことがあるので
迷って不安な気持ちで投げるくらいなら
首を振って思い切って投げたほうがいいと思うので・・・」
この場面では谷繁のサインに首を振って
得意なパームボールを投げバッターを追い込み、この後きっちり打ち取った。
悔いだけは残したくない。
それがベテランの谷繁のサインでもである。


「基本はゼロでかえってくることですけど、
もし打たれても勝ちのまま岩瀬さんに繋げたいと思いますし・・・」
セットアッパー 浅尾拓也。
勝利への鍵はこの男が握っている。