放送内容

2010年09月25日(土)放送

ラグビー 豊田自動織機シャトルズ~ルアタンギ・侍バツベイの挑戦~

カテゴリー:野球

9月4日、ラグビートップリーグ開幕。
今シーズン昇格を果たし、開幕戦に歴史的勝利を収めた地元・豊田自動織機シャトルズ。
そのゲームをスタンドから見つめる一人の男がいた。
ラグビー元日本代表、ルアタンギ・侍バツベイ、32歳。
大東文化大学を卒業後、トップリーグで8シーズンプレーし東芝時代には日本一を経験。
年間MVP、ベストフィフティーン、最多トライなど数々の個人タイトルを受賞する。
またオールジャパンとして2度のワールドカップに出場、2006年には日本国籍を取得し
「侍」バツベイとなった。
しかし2009年3月、所属していた近鉄を退部し、日本ラグビー界から突如姿を消した。

「ラグビー自体を一回休んだというか、もうやらないって感じになっていた」
度重なるケガの影響もあり、母国トンガへと戻っていたバツベイ。
しかしラグビーと離れた生活を続けるうち、不完全燃焼で終わった日々を思い返してしまう。
「もう一度、ラグビーをやろう」と情熱が芽生え始め、再び日本でのプレーを希望したが
トップリーグのチームからのオファーはゼロ。いつしか月日は一年が過ぎていた。

そんな中今年8月、バツベイに転機が訪れる。今シーズンからトップリーグで戦う
豊田自動織機シャトルズの田村誠監督が手を差し伸べた。
田村監督がバツベイに求めたのは経験と戦う気持ち。
発展途上のチームにおいてトップリーグを知る男の存在は
チームにとって必ずプラスになると考えた田村監督。
所属チームが決まらなかったバツベイは涙を流し、こうしてシャトルズの一員となった。
しかしチーム合流はトップリーグ開幕のわずか3週間前。
トンガでも個人でトレーニングを積んでいたバツベイだが、一年のブランクは予想以上に大きかった。
結局、開幕戦には間に合わなかった。
全盛期の動きを取り戻すため、生活面の一から取り組む。
大好きな焼き肉も酒も封印し、練習に練習を重ねて己を追い込んでいく。その姿はまさに「侍」だ。

チームは開幕戦に勝利したが、続く2試合は強豪チームに連敗。
3試合を終え、未だバツベイの出場はゼロ。
調整も順調に進み、悪い流れを断ち切るためにも経験豊富な男の力が今こそ必要となるときが来た。
次は10月3日、サントリー戦。
9月25日には中部電力との練習試合にスタメンで出場し、随所に存在感のある動きを見せたバツベイ。
「織機のために、みんなのために。恩返しがしたい」
ラグビー元日本代表、ルアタンギ・侍バツベイが再びトップリーグの舞台に戻ってくる日は、近い。