二転三転していたプロ野球セントラルリーグの開幕日が4月12日と決まった。
この決定を受け、ドラゴンズの選手たちも最終調整に入った。
そんな中、その新しいシーズンへ特別な思いを抱いているのが
プロ12年目を迎えた朝倉健太である。
チームは去年、リーグ優勝を果たした。
特に8月、9月で貯金11と勝負どころの夏場以降の強烈な追い上げが
4年ぶりの歓喜につながった。しかし、そこに朝倉の姿はなかった。
去年7月14日のスワローズ戦で朝倉は先発したものの4回途中でノックアウト。
この試合を最後に1軍のマウンドに上がることはなかった。
結局、わずか3勝に終わり、登板数も9試合と7年ぶりのひとケタ。
チームの力になれなかった。
「あの悔しさというか、つまらなさはプロに入って初めてつまらなかったので。
もう2度とあんな経験はしたくないし、やれるのならずっと1軍にいたいから。」
プロ生活11年で味わったことのない屈辱が、今年にかける思いを強くする。
「プロ12年目ですけど、その中でイチバン強い年じゃないかと思います。」
強い決意を持って臨んだ今シーズン。
キャンプからガムシャラに練習に取り組む朝倉の姿があった。
その中で復活へ向けて朝倉がこだわったものがある。
「今年はキャンプから真っ直ぐの力を取り戻すというテーマでやってきた。
やっぱりスピードガンよりもバットに当たった瞬間の力というんですかね、
押し込めるものならもっと押し込みたいみたいな・・・。
そういう意味での真っ直ぐという感じですね。」
3月23日にナゴヤドームで行われたウエスタンリーグ阪神戦。
先発した朝倉は先頭の柴田にいきなりツーボールとしてしまう。
バッターとしてはストレートに的を絞りやすいカウント。
ここで3球目に投じたのはそのストレート。
柴田は強振するも打球は力なく転がり、バックネットへのファール。
このストレートこそ朝倉が追い求めているものだった。
「分かっていて真っ直ぐを投げてファールがとれたので
自分の中でやってきたことは間違いじゃないと。
自分の思ったとおりというか、真っ直ぐの力強さを取り戻すということは
徐々に出来つつあると思う。」
こだわってきたストレートには確かな手応えをつかんだ。
今シーズンここまでの実戦は6試合に登板し2勝1敗 防御率2.10と抜群の内容。
きっちり結果を出した。
そんな朝倉がプロ11年間で積み重ねてきた勝ち星の数はチーム3番目となる61。
開幕まであと10日、実績十分の右腕の復活劇はいよいよ始まる。
「今年は去年みたいに、つまらないシーズンにならないように
ローテーションを守って1年間しっかりやることしか考えていないので。
もう一回、第一線でやりたいと思います。」