「ピッチングフォームが変わっている、
確かに変えているんですけど、良く気付きましたね」
こんな言葉を言ってもらえる事は記者にとって、とても光栄なことである。
そう話してくれたのは、ケガからの復帰を果たしたチェン・ウェイン投手(25)。
キャンプで左足内転筋を痛め、5月7日の今シーズン初先発までおよそ3ヶ月の月日を費やした。
この期間中、チェン投手に何かと動きがあれば取材に出かけていた訳だが、
話を聞くたび彼は「全然ダメです」「真っ直ぐの球威がいまひとつ」
「ケガの不安がまだまだあるので」と漏らしていた。
ハッキリ言ってしまえば前向きな言葉より、苦しい言葉がほとんどだった。
そんな日々を過ごしてきたチェン投手が、必死になって取り組んできたこと・・・
それが「ピッチングフォーム」である。
取材を続けるうち、彼には2つの投げ方があることに気付き、その話をぶつけてみた。
「理想は2009年のフォーム(右足を高く上げて一連の流れでピッチング)ですが、
去年は上半身が前に突っ込むクセがついて出来なかったんです。
だから去年は一旦右足で溜めを作って投げていました。
どっちのフォームも結果を出したので、今すぐにどっちがいいか判断できないんですよね」
(※09年は最優秀防御率のタイトルを獲得、10年は自己最多の13勝をマーク)
どちらのフォームでも結果を出した・・・
これこそ、彼がこの3ヶ月間で苦しんでいた一番の原因だった。
5月7日の今シーズン初先発でも2つの投球フォームで投げたチェン投手。
「ちょっとずつ良くなっているし、球の威力も質も戻ってきたと思います」
勝ち星はつかなかったが、確かな手ごたえは掴んでいる。
完全復活へ、エース左腕の今後もスポケンでは追い続けていきたい。