「あの時は全部フォークですね。
2ボール2ストライクから1球スライダーを挟んでいるだけで、後は全部フォークですね」
そう話すのはプロ23年目の大ベテラン・谷繁元信選手(40)
谷繁選手のいう「あの時」とは5月13日の阪神戦。
3点リードの8回、セットアッパーの浅尾投手が3連打を浴びて1点を失い、4対2。
なおも1アウト2塁1塁、流れは阪神に傾きかけていました。
打席に3番鳥谷選手を迎えての場面、
このシーンにこそ、谷繁選手のリードの凄みを感じたのです。
初球、谷繁選手が要求した球はフォーク。続く2球目もアウトコースへの141キロのフォーク。
3球目、4球目も執拗にフォークで攻め続けます。
これでカウントは2-2。
何故そこまで思い切ったリードができたのか?
谷繁選手に話をぶつけてみたところ、
「鳥谷対浅尾を考えた時にあの場面で欲しかったのは三振、
だからフォークを続けた」とのこと。
投げる浅尾投手は「滅多に同じ球が続くことはないけど、
鳥谷さんはボクのストレートを待っていたのでは。
それを感じた谷繁さんが出してくれたサインだと思います」と話してくれました。
しかも驚くべきは8回の3連打で1番マートン選手に
タイムリーを許した球がフォークだったにも関わらず、
それでも鳥谷選手をフォークで攻め続けていたこと。
打たれた球を谷繁選手はあえて初球から投げさせ、
バッター心理のウラをかいた強気の攻めの結末は…
6球目に投げたフォークで見事に空振り三振!
これぞプロ、これぞ谷繁選手のリードの凄さ。
これだからドラゴンズは強い、改めてそう感じさせられた1シーンでした。