“笑顔と魂”がスローガンの岐阜・大垣日大。
この夏、東海勢の中で甲子園が一番近い学校として最も注目を浴びている。
チームの大黒柱はエース葛西侑也。
これまで春のセンバツベスト4など、数々の大舞台を経験してきた全国屈指の左腕。
しかし、そんな彼がまだ経験していないものがある。それが夏の甲子園。
去年、夏の岐阜大会準決勝。
大垣日大は、県岐商に1対0で惜しくも敗戦。
わずかなに及ばず、甲子園には手が届かなかった。
あれから1年、葛西は徹底的に下半身を鍛え抜いた。
そして、もう一つは徹底した投げ込み。
多い時で1週間に、1000球弱。
オフの冬場を除いては、このメニューを毎週行ってきた。
そんな大垣日大に、この春思わぬ問題が生じる。
阪口監督が脊椎疾患による体調不良で入院、そして手術。
夏の大会前の大事な時期にチームを離れることとなった。
5月30日。春の東海大会、準決勝。
ベンチに阪口監督の姿はない。
先発した葛西と時本のバッテリーは3回まで菰野打線をパーフェクトに抑える。
そして4回、3日前に退院したばかりの阪口監督が球場に姿を現した。
葛西はわすか2安打、完封勝利で療養中の指揮官に最高のプレゼントを贈った。
選手と監督の絆をより深め、チームはまた一歩成長した。
7月9日、岐阜大会開幕。
まもなく葛西の最後の夏が始まる。