三重県多気郡大台町、山深い奥伊勢にある三重県立宮川高校。
全校生徒は3年生のみの42人。去年4月に同じ多気郡にある
県立相可高校との統合により、現在宮川には1・2年生の姿はない。
少子化の波に押された同校は、来年3月に廃校となることが決まっている。
そんな最後の夏に高校野球で「宮川」の名を残そうと立ち上がった精鋭たち。
正式な部員はわずかに4人。
中でもバッテリーを組む東山慎実君と西川真一君は3年間続けた唯一の野球部員だ。
「一番辛かったのは自分のやりたい練習ができない事」
「一つ上の先輩がいなくなった後は3人で練習をしていた事もあった」
試合はおろか満足に練習も出来なかった日々、それでも2人は野球を諦めなかった。
そんな2人の想いと一緒だったのは鈴木隆明監督。
宮川に赴任して4年、廃校のウワサ話が赴任当時から囁かれる中で
これまで野球部存続の危機を幾度となく乗り越えてきた。
「僕の姿を見て、周りの先生たちが部員集めをしてくれたり、
歴代の先輩が「野球やりなよ」って声をかけてくれたり。
野球部に対する協力はいつも大きかった」
監督の想いは実を結び、今年テニス部などから7人が新たに集まり、11人となった。
これで最後の夏、三重大会に出場できる・・・
迎えた三重大会抽選会。
初戦は17日、松阪球場で日生学園第一高校に決まった。
「最後なので寂しいですけど、全力プレーで最後に相応しい試合をやりたい」
そう語るのは2年春から入部し、キャプテンを務めるまでになった古田郁人君。
三重県立宮川高校、最後の夏。
精一杯の全力プレーで爽やかに駆け抜ける。