13戦無敗、5連勝と上昇ムードで迎えた8月最初のゲーム。8月7日 名古屋 vs 磐田。
守護神・楢崎をケガで欠いたグランパスは、前半19分、磐田に先制される。しかし、小川の今シーズン初ゴールで試合を振り出しにすると、後半にはルーキー・永井がリーグ初ゴール。名古屋2-1磐田。役者がきっちり仕事をしたグランパス。6連勝で、14戦無敗のクラブ新記録を樹立し、首位との勝点差は2点。首位奪還へ、あと一歩と迫った。
去年のリーグ覇者。しかし、シーズン序盤のグランパスに、その姿を見出すのは難しかった。攻撃サッカーが機能しない。ゴールが遠い。チームには苦しい事情があった。
震災の影響で一時中断したリーグ。再開後の初戦で金崎、次の試合では闘莉王、さらにその次の試合ではケネディと、チームにはケガ人が相次いでいた。ベストメンバーを組めない苦しい戦いの中で、特に課題となっていたのは攻撃面。
5月21日、柏戦。首位を独走していた柏を相手に、パスが繋がらない。さらに敵陣深くに切れ込んでも、ゴール前フリーの味方を活かしきれず、結果はスコアレスドロー。指揮官は苛立っていた。
ストイコビッチ監督:
「多くのミス。ミスコントロール。それは技術的な問題で、私に何が出来たっていうのかな?」「我々は、フィニッシュでのアイデア、独創性が無さすぎた。それが問題だ」
苦しい状況の中で一人、気を吐いていた選手もいた。玉田圭司。4月29日、自らのケガからの復帰戦で2ゴールを挙げるとその後もコンスタントにゴールを重ねる。自身のシーズン最多の13ゴールを記録した去年を上回るペースでゴールを量産する。その玉田の勢いに引かれるかのようにチームも調子を上げていく。
さらにケガ人が続くなか、出場のチャンスを掴んだ若い才能がチームに勢いをもたらす。磯村亮太。ユース育ちのプロ3年目。6月18日リーグ初スタメンとなった大宮戦でリーグ初ゴールを決めると、その後3戦連続ゴール。気がつけば、チームも5月15日以来負けなしと上昇気流に乗っていた。
7月。グランパスは攻勢をかける。5連勝で首位を射程圏内に捉えた。
そして、8月。連覇への道が開けるか勝負の夏。
ストイコビッチ監督:
「今月、8月は6試合をこなすハードな月だ。だが、我々には不敗記録を伸ばす用意は出来ている」「1試合1試合、我々のサッカーのクオリティを見せるまで。そして、王者になることを見せるまでだ」